世の中の「嫌な思い」をなくす、UXの研究

体験が左右する
ある雪の日、自動販売機で購入したドリンクを取るために取り出し口に屈んだところ、着ていたコートの裾が汚れてしまいました。この時「裾が汚れた」という記憶によって、ドリンクやそのブランドに嫌な印象が残るかもしれません。また、ECサイトで買い物をする際、欲しい商品がどこに掲載されているのかがわからなければ、そのECサイト自体の印象が悪くなります。
このように「UX(ユーザーエクスペリエンス=ユーザーの体験)」は、商品やブランド、企業全体の評価を左右するほど大きな意味をもつようになりました。
AIの是非
例えば、ある企業が自分たちのサービスを広めるためにイベントを開催するとします。この時、企業の思いを反映させたプロジェクションマッピングを上映したり、オリジナルのキャラクターを登場させたりすることは、UXを向上させる上で非常に有効な手段になり得ます。こうしたアートやデザインの制作には多くの時間と手間がかかりますが、近年飛躍的に発達したAIを用いることで効率性を格段に高められます。時として批判の対象になるAIですが、他者の権利を侵害する、虚偽の情報を発信するなど、AIを使うことのリスクを理解した上で使用すれば、人間を大きく助けてくれます。
個人の体験を掘り下げる
AIは今後も発展し、作業効率を高めてくれることが期待されるため、人間は人間にしかできないことを追求していく必要があります。例えば、自らの体験を深く掘り下げてUXにつなげることもその一環です。「裾が汚れた」経験から、自販機の取り出し口を上部に設置することや、欲しいものが見つからずに売り場をうろうろしたことから、誰もが一目でわかりやすいインフォメーションをつくることなどです。時にはデジタル技術やAIを用いながら、人々が嫌な思いをする、不便に感じることをいつの間にか解消して、より良い時間を過ごしてもらうための手段を考えることは、UXを研究する大切な意義なのです。
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