ダイヤモンドを作ろう!!
ダイヤモンドと鉛筆の芯が同じ!?
宝石の中でも、特に尊ばれるのがダイヤモンドです。透明できらきらと輝くこの最も硬い鉱物は、化学的に言えば、C(炭素)原子からできています。そしてなんと、鉛筆の芯や石炭も炭素からできているのです。ただ、この3つの物質は、原子の並び方が違うので、見た目も性質も、まったく異なっています。構造によって、炭素が透明になったり、黒くなったりするわけです。
高温高圧でダイヤモンドを作れ!
ダイヤモンドは、地中奥深くのマグマの中で、できると言われています。そこで、その高温高圧の環境を再現すれば、黒い炭がダイヤモンドになるのではないかと考える人が出てきました。アメリカのゼネラル・エレクトリック社は、1400~1600度、5500気圧という環境下でダイヤモンドを作ることに成功しました。初期の人造ダイヤです。ただ、1年間でやっと20mm程度の大きさにしかなりませんでした。
次に成功したのが、「衝撃圧縮法」です。爆薬を爆発させて、瞬間的に石炭に高圧力をかけると、細かく飛び散った炭素のいくつかがダイヤモンドになるのです。数百ミクロン以下という肉眼には見えない大きさですが、工業用の研磨剤や切削工具の材料などに使われています。
プラズマでダイヤモンドを作れ!
そして、こうした2つの大掛かりな方法とは異なる、「気相合成法」が登場します。固体・液体・気体は物質の3態と呼ばれますが、気体をさらに高温にすると、プラズマという状態になります。原子を構成する、原子核と電子がバラバラになって飛び交っている状態です。CH₄(メタンガス)とH₂(水素ガス)を混合した反応ガスを、800度、1/3気圧の環境で、エネルギーを投入してプラズマ状態にすると、CとHがバラバラになり、そのうちのCのある割合が、ダイヤモンドの構造に並ぶのです。この人造ダイヤは、金属などに付着して膜になります。このダイヤモンド膜は、宇宙船の窓や、工具の材料に使われています。
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先生情報 / 大学情報
千葉工業大学 工学部 先端材料工学科 教授 坂本 幸弘 先生
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