よりよいコミュニケーションのために「表情」を味方につける

よりよいコミュニケーションのために「表情」を味方につける

コミュニケーションに大きく影響する「表情」

人が直面するトラブルの多くは、人間関係が原因であるとされています。人間関係を良好にするポイントは、相手とのコミュニケーションを十分にすること、コミュニケーションで感情をしっかり見せることです。そこで注目したいのが、顔の表情です。表情は、いわゆる「ノンバーバル(言葉を使わない)」なコミュニケーションツールとして機能しています。一人の笑顔が場の空気を和ませ、そこにいる人たちの気持ちを自然と明るくしてくれる、そんな経験をしたことがある人もきっと多いでしょう。

「表情」の動きや心理に与える影響を精細に分析

相手によい印象を与えたり心を開いてもらったり、良好な関係を築いていくためのツールとして表情を活用するために、実験・調査とデータ解析を行います。実験・調査では、対話中の表情を動画撮影し、目尻の動きなど1ミリ単位で変化を測定したり、相手のどこを見ているのかを視線計測したりします。表情に関する研究は、心理学の中でも基礎的な実験・分析を行う機会が多いのが特徴です。「こちらが笑顔になると、相手も笑顔になる」これを表情同期といいますが、表情が同期すると関係がより良好になるとのデータもあり、人の表情が生活の質を高める要因の一つになることも明らかになっています。

「表情」を活用していくためには

自分が「どんな表情をしているのか?」を意識し、さらには正しく認識できている人はほとんどいません。そのため、自分の表情を意識し、うまくコントロールすることができれば、より円滑なコミュニケーションの手助けとなるはずです。例えば、医療・保健や福祉といった対人援助・支援の現場においては、もっと表情が活用されることが望まれます。しかし、思うように表情を出すのは簡単なことではありません。対人援助・支援に関わる人に限らず、多くの人たちが円滑なコミュニケーションのツールとして「表情」を活用していくためには、実践的なスキル習得につながる学びや支援方法の確立も必要だと考えられます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

浦和大学 社会学部 総合福祉学科 准教授 益子 行弘 先生

浦和大学 社会学部 総合福祉学科 准教授 益子 行弘 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

心理学、対人コミュニケーション学

メッセージ

「人の役に立つ」人間になるには、資格や技術を持っているだけではなく、相手から信頼されるコミュニケーション力があり、的確な支援技術を持っている必要もあります。信頼されるコミュニケーション力とは、良い印象をもたれ、この人なら味方になってくれると相手に思ってもらえる能力です。医療・保健・福祉業界などでの対人援助職をめざしているなら、資格取得に向けて専門科目・技術を学ぶ中で、より適切なコミュニケーションができるようにコミュニケーション技術を身につけていきましょう。

浦和大学に関心を持ったあなたは

浦和大学は社会学部(総合福祉学科・現代社会学科)、こども学部(こども学科・学校教育学科)の2学部・4学科を設置する四年制大学です。「実学に勤め徳を養う」という建学の精神のもと、知識や資格の習得だけでなく、学内に小学校の模擬教室を設けたり、0~3歳のことどもと保護者が集う「親子のひろばぽっけ」を学内に開室したり、高齢者を対象とした健康体操教室を開催するなど、授業で学んだ内容を実践できる環境や設備、カリキュラムを用意しています。