障がい者や高齢者のための、やさしくて気持ちいい「口腔ケア」
障がい者・高齢者には、やさしいマッサージを
障がいのある人や高齢者は、口のケアを拒絶することがあります。また、認知症の人の口に手を入れようとすると、すぐにはうまくいきません。そのようなときは、すぐに歯ブラシを使うのではなく、顔の周りを触ったり、口の中をマッサージすると、緊張がゆるみ、スムーズにケアをすることができるようになります。意識が少しはっきりしない人には、積極的に働きかけて口を動かすことは、口の筋肉や口腔(こうくう)機能を活性化させることになります。逆に筋緊張がある障がいの人や、食いしばりがある人には、マッサージをすることで緊張をほぐします。
また、唾液が出ない人に唾液腺のマッサージをしたりもします。緊張していると唾液が分泌されにくくなりますが、唾液にはしゃべりをスムーズにしたり、食事の後食べものを洗い流してう蝕や歯周病を防いだりする働きがあります。ほかにも口の中を中性に保ったり、口の中の粘膜を保護したりするなどの働きがあり、唾液の分泌はとても重要です。
口腔機能を鍛えて維持する
障がいのある人や高齢者には、のどや口の麻痺や筋力低下によって、食べられない、飲み込めない、むせるなどといったいろいろな問題が出てきます。そういう人たちには「口の体操をしましょう」「お話をしましょう」と言って、積極的に口を動かすことを呼びかけ、口の筋肉を刺激することを促します。
障がいのある人や高齢者だけでなく、健常者も口の健康を保ち、筋力を落とさないようにしていくことも課題です。ストローをフーッと吹いて何かを倒すなど、口の筋肉を使うレクリエーションなども効果的です。
すべての人に大切な口腔ケア
若い人や健康な人でも、ストレスで食いしばりが強い人たちには、耳鳴りがする、肩がこる、偏頭痛がするという人もいますが、そういう人にもマッサージは有効です。「触れる」ということを大事にする、すべての人にやさしくて痛くない、気持ちのいい口腔ケアが必要とされているのです。
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先生情報 / 大学情報
千葉県立保健医療大学 健康科学部 歯科衛生学科 教授 麻賀 多美代 先生
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