講義No.11476 歯学

抜けてしまう乳歯に、虫歯の治療が必要なわけとは

抜けてしまう乳歯に、虫歯の治療が必要なわけとは

歯が生え替わる理由

人間は生後7カ月頃から乳歯が生え初め、2歳6カ月頃には上下20本が生えそろいます。その後、6歳頃になると永久歯への生え替わりが始まり、すべての歯が永久歯になるのは12歳頃です。つまり乳歯は生涯の中で約9年間しか使われません。歯の生え替わりの際、永久歯が生えてくると、歯の根が溶けることで乳歯は抜け落ちます。なんらかの原因で乳歯が抜けないと、永久歯が歯茎の横から生えたり、噛み合わせが悪くなったりする場合があります。このようなリスクがありながらも人間が歯の生え替わりを選んだのは、頑丈な永久歯だからこそ噛める硬いものを食べることで、大人に必要なカロリーを確保しなければならなかったからだと考えられます。

乳歯で食べ物を噛むための学習

私たちは食べ物の種類により、意識せずに噛む力や回数を変えています。硬いせんべいと、綿あめのようなふわふわしたものでは、最初の一口目から力の入れ加減を変えているはずです。これは、食べた経験を学習しているからです。乳歯の奥歯の根の周りには歯根膜というクッションがあり、圧受容体という力を感じる器官が備わっています。そこで、食べ物によってどれくらい噛む回数が必要であり、どれくらいの時間をかければ飲み込めるかを学習しています。学習の期間は約9年間ですが、その間に噛み方を学習し、そこで脳にインプットされたデータが大人になっても使い続けられるのです。

治療と予防の必要性

ですから、抜けてしまう乳歯でも、虫歯になったら治療が必要です。もし、乳歯が虫歯になり穴があったり痛みがあったりして、硬いものをしっかりと食べられなければ、脳は噛むことの正確なデータを得られないからです。正確なデータが得られなければ、大人になったとき硬いものを食べるのが苦手で、噛まずに飲み込んでしまうなどの支障をきたす可能性があります。そのため抜ける乳歯も、虫歯になったらきちんと治療すること、さらに虫歯にならない予防の教育がとても大切なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

鶴見大学 歯学部 歯学科 教授 朝田 芳信 先生

鶴見大学 歯学部 歯学科 教授 朝田 芳信 先生

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歯学

メッセージ

将来の仕事を考えるには、20年先を想像してください。今よりさらに高齢化が進んだ社会になり、介護サービスが難しくなる中で、健康に生きるために必要となるのは食べることです。
今までの歯科医は虫歯を治療するという、どちらかという内向きの活動でしたが、これからは歯の健康の維持のために呼び掛けていく外向きの活動が増えていくでしょう。健康な歯の平均の本数は年々増えてきており、現在は80歳で20本ある人が5割程度です。20年後にも有意義な仕事ができる分野だと思います。ぜひ歯学をめざしてください。

先生への質問

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曹洞宗大本山總持寺の創設した大学で、「禅」の教えに基づいた教育を行っています。横浜で唯一の歯学部は、質の高い歯科医師を数多く輩出しています。隣接する鶴見大学歯学部附属病院で、実際に学生が患者さんを診療する特色ある臨床実習を行い、実践的に学ぶことができます。文学部は、多様性に富んだ4つの学科で構成され、きめ細かな指導と実践力を培うカリキュラムによって高度で専門的な能力を高めます。さらに、すべての学科に共通する基礎教養も重視しており、社会のあらゆる分野で柔軟に応用可能な力を身につけることができます。