講義No.10880 医療技術

苦手な発音を克服するには? 発音の誤りを分析・指導する言語聴覚士

苦手な発音を克服するには? 発音の誤りを分析・指導する言語聴覚士

さまざまな理由からなる構音障害

「構音(こうおん)障害」とは、発音がうまくできない状態が固定化、習慣化した状態のことを指します。脳梗塞などの病気により、脳からの指令が神経や発音する時に使う筋肉へうまく伝わらない場合や、発音する時に使う口の器官の形や機能の問題など、原因が明らかな構音障害と、明らかな原因がない構音障害があります。

機能性構音障害とは

原因が明らかでない構音障害を「機能性構音障害」といいます。
子どもは、4歳頃までに多くの音を発音できるようになりますが、舌先を使う「サ行」「ザ行」「ラ行」は、ほかの音より上手になるまでに時間がかかります。多くの子どもは成長とともに口や舌の動かし方も上手になり、7歳頃までには全ての音が自然に発音できるようになります。しかし、成長しても改善が見られず誤りが習慣化している場合や、発音の誤りが多くて言いたいことが伝わらずに子ども自身が気にしている場合には発音の練習をします。
大人になってからも苦手な発音があり悩んでいる人から、「子どもの時から発音の癖があったけれど、誰に相談したらよいのかわからず練習する機会がなかった、今からでも治るのであれば治したい」という相談を受けることがあります。このようなケースで多いのは、イ、キ、ギ、シ、チ、ジ、リなど、母音の「イ」で終わる音の発音に起こりやすい構音障害である「側音化構音(そくおんかこうおん)」です。例えば、「くち(口)」の「チ」を発音する時、舌の動かし方の癖で音がひずみ、「チ」が「キ」に近く聞こえます。自然には治りにくい誤りですが、練習によって改善することが可能です。

コミュニケーション全般の支援を行う言語聴覚士

言語聴覚士は、年齢に関わらず、発音で困っている人の発音の誤り方や原因を分析し、正しい発音の方法を指導していきます。発音だけでなく、コミュニケーションや食べることなど、言語聴覚士が活躍できる領域は幅広く、その支援は多くの人に求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京平成大学 健康メディカル学部 言語聴覚学科 講師 佐藤 亜紀子 先生

帝京平成大学 健康メディカル学部 言語聴覚学科 講師 佐藤 亜紀子 先生

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言語聴覚学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたは、「言語聴覚士」という職業について、きいたことがありますか? 言語聴覚士は1997年に国家資格となった、ことば、聴こえ、飲み込みなどの支援を行うリハビリテーションの専門職です。病院だけでなく福祉・介護・教育などの幅広い領域で活躍でき、コミュニケーションや食べることに課題を抱えた子どもから高齢者まで支援する、とてもやりがいのある仕事です。ことばやコミュニケーションに興味がある、人のためになりたい、と考えている人は、ぜひ言語聴覚士をめざして一緒に勉強していきましょう。

先生への質問

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「実学の総合大学」、帝京平成大学。
首都圏の4つのキャンパスには、あなたの学びたい思いに応える医療からグローバルまで5学部18学科の学びがあり、約10,000人の学生が学んでいます。各キャンパスでは“実学”を徹底的に重視した教育や実践の場を用意。地域の医療や暮らしに関する拠点となる施設・環境を整え、学びに応じた実学教育を展開。学生は実習を積み重ね、キャリアに直結する実践能力を身につけます。