人間にとって本当に役立つコンピュータ環境を構築する
コンピュータ環境への不満
パソコンやスマートフォンで作業を効率化したり、膨大な情報にアクセスしたりできますが、それは必ずしもベストな環境をつくっているとはいえません。例えば、デジタル機器の使用で漢字を忘れたり、計算力が低下したりするというデメリットがあります。販売サイトでは、閲覧履歴などによって、最適な商品を推薦してくれる機能がありますが、実際には、同じような情報ばかりが届き、異質な情報が排除されます。また、情報を伝えるアラート(お知らせ)もこちらの状況に関係なく割り込んで表示されます。
IoTでデジタル環境をスマートに
こう考えると、コンピュータは私たちの生活にうまく溶け込んでいるとはいえません。そんな中、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)という新しい技術が登場しています。IoTとは、さまざまなモノがネットに接続されるということです。パソコンやスマホなどのデジタル機器でのネット接続は意識的に行っていますが、IoTでは無意識に情報のやりとりが行われます。さまざまなセンサーが人間の意向を読み取り、作業を中断することなく、自動的にネットに接続して情報が取得できます。また、複数の人と議論する場合も、各人の状況をシステムが把握し、必要な場合に情報を共有することが可能でしょう。情報を伝えるアラートも、作業を邪魔しないようにスマートに取得できるようになります。
ビッグデータで思いがけない情報を取得する
AIが学習するビッグデータを活用すれば、思いがけない情報の関連がわかり、販売サイトの推薦はもっと有用なものになるかもしれません。デジタル機器も変化します。入力もキーボードではなく、新しいデバイス(装置)が開発されるでしょう。将来は、環境の中にコンピュータが埋め込まれ、携帯するデジタル機器さえもなくなるかもしれません。
しかし、このようなコンピュータの未来を実現するためには、コンピュータと人間のあり方を考え続けることが必要なのです。
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九州大学 共創学部 共創学科 教授 木實 新一 先生
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