「宇宙の目」で水害から人の命や財産を守る
頻発する水害に対処するための研究
日本は海に囲まれた島国で、河川も多く存在します。そのため地球の気候変動に伴って、豪雨や高潮、高波、洪水などが増加することが懸念されます。このような災害が実際に起これば、水域周辺に暮らす人々の生活が脅かされることは簡単に想像できるでしょう。それをなんとか防ごうと、さまざまなアプローチでの研究が行われています。
被害状況がリアルタイムでわかるように
その一つが、水害状況を素早く把握して、避難や救助活動などにつなげていく情報提供に関わる研究です。これは、人工衛星に専用の測定器を載せて地表の様子を調べる衛星リモートセンシングや地理情報システムとAI技術などを組み合わせて、誰が見てもわかりやすい、水害状況の「今」を発信しようという試みです。スマートフォンをはじめ、テレビやラジオで「危険な場所」などの情報を提供していけば、素早い判断と効率的な動きで避難・救助ができるようになります。
現時点では、水害発生後2~3時間程度でどの場所が、どのくらいの深さで浸水しているのかがわかるようになりました。この情報を得るスピードをさらに速めること、多くの人に周知させる仕組みを考えていくことがこれからの課題です。それらがクリアできれば、避難ルートも的確に提示ができて被災者の安全につながり、救助に動く人にもメリットがあります。
水害の防災アプリができるかも?
情報とシステムをうまく組み合わせることが重要になるこの研究は、今後期待される技術の進歩により、先に述べた課題もいずれ解決できると予測されます。研究成果はアプリ化もされて、多くの人がさらに手軽に情報に触れられるようになるでしょう。
もちろん、これからの気候変動がどうなるかはわかりません。人の推移や、土地の様子なども変化し続けていきます。だからこそ継続的に情報収集と分析を行い、刻一刻と情報をアップデートしていく必要がありますが、そのための準備はすでに整っているのです。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 建築都市学部 土木工学科 助教 白水 元 先生
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