「小さいAI」が生み出す次世代サービス

「小さいAI」が生み出す次世代サービス

制限された環境でも動く「小さいAI」

ChatGPTや画像生成AIをはじめとした「大規模AI」は、非常に高価な計算装置を必要とし、電力消費も膨大です。一方、高コストな計算リソースを必要とせず、小型デバイスでも、ネットワークにつながっていなくても動く、「Tiny AI(小さいAI)」と呼ばれるものがあります。大規模AIの開発や維持管理には、学習するデータの作成やAIのチューニングのために多くの人件費が必要となりますが、Tiny AIはこれらのコストも抑えられる傾向があります。

IoTやマーケティング分野で活躍

自動運転などでは、瞬時の判断が必須なので、ネットワークを介さず、車載の小さなコントローラで素早く処理することが求められます。このようなIoT領域では、Tiny AIが大活躍するのです。
Tiny AIが実用化されている別の分野の一つがデータマーケティングです。商品などのカスタマーレビューの経年変化において、どこが転換点かをTiny AIを使って見つける方法が開発され、実際に企業の中で使われています。Tiny AIであれば、新たなレビューが投稿されても、その都度スマートフォンなどで結果を再計算することができるため、企業は大規模な計算装置を用意する必要がありません。

「大規模AI」と「小さいAI」の活用は適材適所

大規模AIを使うと、人的リソースも含めた投資に対して十分なリターンが得られないケースが多々あります。そこにTiny AIを活用すれば、環境負荷を低減し、人手不足を補い、ひいては人類の幸福につながるものとして、研究が進められています。ただし、人類の更なる進展のためには大規模AIの活用も不可欠です。大規模AIの開発や維持管理に関する特定のタスクはTiny AIで補いつつ、大規模AIをなるべく低コスト化することも重要であると言えます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

静岡理工科大学 情報学部 コンピュータシステム学科 講師 山岸 祐己 先生

静岡理工科大学 情報学部 コンピュータシステム学科 講師 山岸 祐己 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

経営情報学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「なぜこのルールがあるのだろう?」「この評価方法にはどんな根拠があるんだろう?」などと思うことはありませんか? そういう疑問を大切にし、そこから「もっと平等に(あるいはおもしろく)できないだろうか」と考えてほしいです。世の中のシステムには、そもそも科学的根拠がないものや、長く常識とされてきた古い考え方に基づくものが多数あります。科学的根拠や新しい考え方に基づいた世の中のシステム作りに、いつでもどこでも誰でも動かせる「Tiny AI(小さいAI)」が役立ちます。興味を持ってくれるとうれしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

静岡理工科大学に関心を持ったあなたは

静岡理工科大学は静岡県西部の袋井市にキャンパスがある、私立の理工系総合大学です。
理工学部(機械工学科・電気電子工学科・物質生命科学科・建築学科)と情報学部(コンピュータシステム学科・情報デザイン学科)を有し、2020年にはデータサイエンス専攻を開設しました。
さらに2022年4月には理工学部に「土木工学科」を新たに開設。
社会のニーズに応えるべく、常に変わりつづけ、地域社会で活躍する技術者を育成する大学です。