日本の財政課題を、スポーツ・プログラムや仕掛けを活用して解決する
医療費はスポーツ・運動習慣で減らせる?
高齢化が進む日本では、医療費が年々増加しています。その医療費の3分の1を占めるのが高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病です。特に糖尿病が悪化して腎臓が機能しなくなると、定期的に血液を浄化する透析治療が必要になり、1人あたり年間600万円もの医療費がかかると言われています。しかし、生活習慣病はスポーツ・運動習慣の定着や正しい食習慣によって予防することが可能とされています。そこで、各自治体では生活習慣病予防のために、さまざまな取り組みが行われています。
自治体の健康増進事業の効果とは?
多くの自治体で取り組んでいるのが、「健康ポイント事業」です。これは自治体が行う体操教室・がん検診・健康講座・運動プログラムに参加した住民にポイントを付与して、ポイントがたまると商品券などに交換できる仕組みです。ある自治体のデータを用いて、この事業に参加した住民と参加しなかった住民を比較したところ、数年後の介護費用にはほとんど差がないことがわかりました。現状の事業は、軽めの運動プログラムが多く、住民の交流やコミュニケーションには役立ってはいるものの、医療・介護費用の抑制に役立っているとは言えないのです。
参加したくなるスポーツ・運動プログラムが必要
そこで、より本格的なスポーツや運動を取り入れたプログラムやイベントが必要になっています。ヘルスケアの分野ではデジタル化が進んでいて、ウェアラブルデバイスで心拍数や血圧などのデータを計測して健康管理に活かしています。そのようなデジタル技術と、ヘルスケア、スポーツの3つを融合させることで、より効果的なプログラムや新しいビジネスを生み出すことが期待されています。また、みんなが思わずそのスポーツ・運動プログラムに参加したくなるような「仕掛けづくり」も必要です。コンビニのレジ前に足跡マークを描いたら客が自然と順番に並ぶようになった事例がありますが、生活習慣病予防にもそんなアイデアが求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
北海道教育大学 教育学部 芸術・スポーツ文化学科(岩見沢校) 准教授 鈴木 哲平 先生
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