ユーザーの好みや個性にも対応できる「感性情報処理」の研究

ユーザーの好みや個性にも対応できる「感性情報処理」の研究

主観的な要求にも対応できる情報機器のデザイン

スマートフォンやタブレット端末などの情報機器は、インターネットで検索したり、TwitterやFacebookなどを通して人とコミュニケーションしたりと、今や私たちの生活と切り離せない道具となりました。しかし、これらは必ずしも誰もが使いやすく、またユーザーの好みや個性、使用目的に合っているとは限りません。メーカーの画一的なシステムに合わせざるを得ないことも多いはずです。 そうした中で求められているのが、もっと便利でわかりやすい、ユーザーの主観的な興味や目的意識、感じ方などの感性的な要求にも対応できる「感性情報処理」の技術です。

日本を発祥とする「感性情報処理」の研究

感性情報処理は、日本を発祥とする研究であり、「感性」をぴったりと翻訳できる英語がないので、国際会議などでは「KANSEI information Processing」と日本語のまま表現されています。そうした感性情報処理を実現する技術のひとつが、「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」です。インタラクションとは相互作用という意味であり、ユーザーと情報システムの間のヒューマン・インタフェースやインタラクション・デザインなどを通して、機械やシステムの使い勝手をもっとよくしようという研究です。

ユーザーの感性をシステムが学習して進化する

感性情報処理の研究は、まず私たちがどういう気持ちで情報機器と接しているのか、またどんな情報が好きで、それをどのように判断に使っているのかなどをリサーチすることから始まります。情報機器と接するさまざまなシーンにおいてアンケートなどで情報収集し、収集した情報を解析して数値化・モデル化します。情報機器は、数字や言語に加えて、画像や音楽、ユーザーの感性までも取り扱うことができるようになりつつあります。ユーザーの好みや個性に合わせて情報を提供し、より人にやさしく、暮らしを楽しくするシステムへと進化しようとしているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

九州工業大学 大学院生命体工学研究科 人間知能システム工学専攻 准教授 吉田 香 先生

九州工業大学 大学院生命体工学研究科 人間知能システム工学専攻 准教授 吉田 香 先生

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情報学、メディア学、システム工学

メッセージ

私は数学や物理が得意だったので、大学は工学部へ進学しました。そして現在は、機械の中に私たちの感情や主観といった感性情報を取り込むことにより、ユーザーにとって、よりわかりやすく、より快適に使いこなすことができる情報機器の開発をめざし、「感性情報処理」という研究を行っています。
そんな私が学生時代に痛感したことは、理系へ進んでも、英語や国語、芸術関係などの文系科目も大事であるということです。理系への進学をめざすあなたも、文系科目にも興味を持つようにしてほしいと思います。

九州工業大学に関心を持ったあなたは

九州工業大学大学院生命体工学研究科は、北九州市若松区の北九州学術研究都市内に2001年に開学しました。生命体工学という新しい分野を創成し、生物の持つ、省資源、省エネルギー、環境調和、人間との親和性等の優れた構造や機能を解明し、それを工学的に実現し応用することのできる技術者や研究者の育成を目標としています。また、本研究科では様々なプロジェクトに取り組んでおり、ロボットによるサッカー競技会への参加やトマト収穫ロボット競技会の企画等を通じて、「自然とロボットのあり方」について研究を進めています。