女性を乳がんから救う、マンモグラフィの奥深い技術
がんの発見で重要な役割を果たす診療放射線技師
現代医療において、病気の早期発見や診断に欠かせないのが放射線検査です。中でも乳がんを発見するには、正常な乳腺と区別をしながらわずか1ミリに満たない異常所見を発見する高度な技術が必要です。診療放射線技師にはマンモグラフィという乳房撮影専用装置を使い、適切な撮影技術と画像を評価する力が問われます。
乳がんは子育てや仕事にやりがいをもつ40代から60代の女性に多く、壮年期における死亡原因のトップになっており、がんで命を落とさないために、乳がんの早期発見を啓発する「ピンクリボン運動」が行われています。
正しく検査するための高度な技術が必要に
放射線検査は、がんや病気の早期発見ができる利点がある半面、被ばくするというリスクもあります。リスクを減らして、診断に必要な正確な画像を得ることが重要です。
特に乳房は一人ひとり異なり、その人に合わせて乳房をどのようにポジショニングするか、どのくらいの圧力でどの程度のX線量が必要なのかなどを判断する技術が求められます。また、日本人は、乳腺組織が多いために乳房全体が白く映る人が多い傾向があるため、乳腺と区別してがんなどの異常所見を見つける読影力も必要です。そのために、機器を正しく管理する能力も不可欠で、診療放射線技師はまさに専門的な職人といってもいいでしょう。
全国から求められる女性技師
技術力を高めるために、研究会や講習会に参加する診療放射線技師が多くいます。マンモグラフィでは、精度管理のための定期的な認定試験も設けられています。実はマンモグラフィの歴史は浅く、登場したのは1967年、日本にマンモグラフィ検診が導入されたのは2000年です。マンモグラフィは難しさもありますが、日本では国外に誇れるほどの精度管理が構築されています。
ただ、まだ男性技師が多いため、女性の診療放射線技師を増やすことが急務となっています。女性が検査を受けやすい環境をつくるためにも、高い技術力を有した女性の診療放射線技師が求められています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
岐阜医療科学大学 保健科学部 放射線技術学科 教授 西出 裕子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
放射線技術学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?