講義No.09802 看護学

患者さんと接することで、自分を見つめ成長する「精神看護」

患者さんと接することで、自分を見つめ成長する「精神看護」

精神疾患の患者さんとの接し方の難しさ

うつ病や統合失調症などの精神疾患のある患者さんとのコミュニケーションには、専門的な技術が必要となります。精神疾患のある患者さんは、人間関係を形成するのが苦手だったり、人と関わる意欲がなかったり、考えがうまくまとまらなかったりすることがあるからです。そこで、看護師がまず行わなければいけないのが、患者さんに信頼をしてもらうことです。例えば、うつ病の患者さんは何事においても悲観的な考えになります。その患者さんに対して「悪いことばかりではありません。前向きにがんばりましょう」といった、通常、人を慰めるような言い方をすると、患者さんは「自分のことをわかってくれない」と思い、患者さんに信頼してもらうことができません。

患者さんとの関わりを振り返り自己を知る

看護師も人なので、患者さんに対する印象や感情が無意識に言動に表れてしまうことがあります。よい印象を持っていれば、相手の言動を快く受け入れられますが、印象が悪いと相手の言動を批判的にとらえてしまいます。これを自分で常に意識することは難しく、知らない間に患者さんとの関係が悪化してしまうこともあります。このような事態を避けるには、自分自身をよく知ることが必要です。自分を知るためには、うまくいかなった患者さんとの関わりを記録に起こし、自分自身の言動を振り返るという作業を行います。これを「場面構成法」と言います。

患者さんの言動は看護師の鏡

患者さんは、無口な人、怒りっぽい人、落ち込みやすい人などさまざまです。そのような患者さん一人ひとりとコミュニケーションを行い関係性を築いていくことは看護師の大切な役割です。看護師の一言で患者さんが傷ついてしまったり、怒ってしまったり、患者さんが予期していない反応を見せることは少なくありません。そんなつもりはなかったのかもしれませんが、患者さんの言動は看護師の言動に対する確かな反応です。その意味で、患者さんは看護師の言動の良し悪しを映す鏡と言えるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

岐阜医療科学大学 看護学部 看護学科 教授 杉浦 浩子 先生

岐阜医療科学大学 看護学部 看護学科 教授 杉浦 浩子 先生

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精神看護学、看護学

メッセージ

看護の中に精神看護という分野があるのを知っていますか? 今はストレス社会と言われていて、心を病む人が増えています。そういった心を病む人の看護をするのが、精神看護です。
「精神看護って何をするの?」と疑問に思うかもしれません。精神看護の基本はコミュニケーションです。自分のコミュニケーション力で、患者さんとの間に信頼関係を築き、ケアをしていきます。このような経験を通じて、自分自身も成長できます。あなたも一緒に精神看護を学んでみませんか。

先生への質問

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岐阜医療科学大学に関心を持ったあなたは

医療総合大学としてチーム医療に貢献できる医療技術者(臨床検査技師、診療放射線技師、看護師、保健師、助産師)を養成してきた本学。その教育ノウハウを生かして、毎年、全国トップクラスの高い国家試験合格率を達成しています。また、就職先は全国の国公立病院や地域の中核病院、医療関連機関など多岐にわたり、毎年ほぼ100%の就職実績を誇ります。2020年4月には、岐阜県可児市のキャンパスに薬学部を開設し、地域社会と連携した医療人育成をめざしています。