患者さんと接することで、自分を見つめ成長する「精神看護」
精神疾患の患者さんとの接し方の難しさ
うつ病や統合失調症などの精神疾患のある患者さんとのコミュニケーションには、専門的な技術が必要となります。精神疾患のある患者さんは、人間関係を形成するのが苦手だったり、人と関わる意欲がなかったり、考えがうまくまとまらなかったりすることがあるからです。そこで、看護師がまず行わなければいけないのが、患者さんに信頼をしてもらうことです。例えば、うつ病の患者さんは何事においても悲観的な考えになります。その患者さんに対して「悪いことばかりではありません。前向きにがんばりましょう」といった、通常、人を慰めるような言い方をすると、患者さんは「自分のことをわかってくれない」と思い、患者さんに信頼してもらうことができません。
患者さんとの関わりを振り返り自己を知る
看護師も人なので、患者さんに対する印象や感情が無意識に言動に表れてしまうことがあります。よい印象を持っていれば、相手の言動を快く受け入れられますが、印象が悪いと相手の言動を批判的にとらえてしまいます。これを自分で常に意識することは難しく、知らない間に患者さんとの関係が悪化してしまうこともあります。このような事態を避けるには、自分自身をよく知ることが必要です。自分を知るためには、うまくいかなった患者さんとの関わりを記録に起こし、自分自身の言動を振り返るという作業を行います。これを「場面構成法」と言います。
患者さんの言動は看護師の鏡
患者さんは、無口な人、怒りっぽい人、落ち込みやすい人などさまざまです。そのような患者さん一人ひとりとコミュニケーションを行い関係性を築いていくことは看護師の大切な役割です。看護師の一言で患者さんが傷ついてしまったり、怒ってしまったり、患者さんが予期していない反応を見せることは少なくありません。そんなつもりはなかったのかもしれませんが、患者さんの言動は看護師の言動に対する確かな反応です。その意味で、患者さんは看護師の言動の良し悪しを映す鏡と言えるのです。
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先生情報 / 大学情報
岐阜医療科学大学 看護学部 看護学科 教授 杉浦 浩子 先生
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