講義No.12982 医療技術

病気の早期発見に役立つ「核医学検査」を身近なものに

病気の早期発見に役立つ「核医学検査」を身近なものに

「核医学検査」とは?

微量の放射線が含まれた薬剤(放射性医薬品)を患者に投与し、特別なカメラで画像化して体内の様子を調べる検査を「核医学検査」と呼びます。CT検査やMRI検査が臓器や組織の「形」や「大きさ」を調べるのに対し、核医学検査は臓器や組織の「機能」や「代謝状態」を測ります。脳の血流量の減少を測定することで脳梗塞の兆候に気づく、肝臓機能の変化を測ることで肝硬変を発見するなど、さまざまな病気の早期発見に役立っています。早期に治療をスタートできれば、発症を防ぐ、または進行を遅らせることができます。

画質を良くして検査時間を短縮

核医学検査には、大きくPET(ポジトロン断層法)とSPECT(単一光子断層法)の2種類があります。感度、定量性などの点ではPETの方が優れているものの、専用装置が高額なため導入している機関は限られています。また、検査費用もとても高く、誰もが受けられるような検査ではありません。そこで、保健医療学では、より多くの機関で検査できる、かつ検査費の安いSPECTの画質を、PETの画質まで高めようと研究が進められています。画質を改善することは、検査時間の減少にも貢献します。これまで30分かかっていた検査時間は、すでに半分の15分まで減りました。さらに5分に減らすことができれば、じっとしていることが難しい子どもにも活用できます。

AIをどう活用するかは人間次第

SPECTの画質向上には、AIを活用した「シミュレーションデータ」が使われています。実際の患者のデータではないので、病院を持たない研究機関でも使える、個人を特定できないよう処理する必要がないなど、メリットの多い方法です。これまでは実データを基に結果を導き出していましたが、AIを使うことで、求める結果を得るためにデータを集めるという全く逆のアプローチが可能になりつつあります。AIをどこにどう使うかは人間の力の見せ所です。研究者たちは日夜、AIの活用方法を模索しています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

広島国際大学 保健医療学部 診療放射線学科 教授 大倉 保彦 先生

広島国際大学 保健医療学部 診療放射線学科 教授 大倉 保彦 先生

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核医学検査技術学

先生が目指すSDGs

メッセージ

医療の世界に進む人に必要な要素が3つあります。1つ目は「勉強」です。学校で習うような基本的な知識はしっかり身につけておきましょう。2つ目は「体力」です。健康でいることはとても大切で、医療者が先に倒れてしまっては元も子もありません。3つ目は「優しさ」です。就業時間に関係なく、困っている人がいたら助けたいと思えるような優しい気持ちを持ってください。医療者は人命を救う、やりがいのある職業です。勤勉に、根気強く、人の幸せを願える人と一緒に研究できることを楽しみにしています。

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広島国際大学は、「いのちのそばに。ひととともに。」の想いを胸に歩む医療系総合大学です。健康・医療・福祉を軸に「時代と地域が求める真のフィールドスペシャリスト」の育成をめざしています。医療系総合大学としてチーム医療に 最適な学部・学科構成となっており、学生生活そのものが実践の場となっています。また、国内外で高い評価を得ている研究者や社会の第一線での実績を持つ教員など、多彩な人材による優れた教授陣が、学部・学科間または研究科・専攻間の枠を越えて相互に連携を図り、きめ細かい教育を行っています。