超音波で「筋肉の年齢」を調べて、サルコペニアを予防する!
サルコペニアの予防に向けた試み
近年は医療技術の発達などにより、人の「平均寿命」が延びています。それにともない、単に平均寿命だけでなく、健康で日常生活がおくれる「健康寿命」を延ばすための研究が盛んに行われています。その1つが「サルコペニア」の予防に関する研究です。サルコペニアとは、加齢によって筋肉量が減少したり、筋力が低下したりすることを言います。サルコペニアになった場合は、早めに生活習慣の改善などを行う必要がありますが、筋肉の状態は外から見ただけでは判断しにくく、血管や肌のように機器を使って状態を数値化する方法も確立されていません。そこで現在、超音波(エコー)検査によって「筋肉の年齢」を測定する方法が研究されています。
年齢ごとに異なる筋肉の特徴
超音波検査(エコー)とは、高い周波数の音波を体に当て、反射した音波を画像として表し、臓器や体の組織を調べる検査です。エコーで若者の筋肉と高齢者の筋肉を画像にして比較すると、色も見た目も大きく異なっているのがわかります。現在は、エコーをさまざまな人の筋肉に対して行い、年齢ごとに見られる特徴を調べている段階です。今後はこうしたデータを数多く蓄積し、「筋肉の年齢」を明確に割り出していくことが課題となっています。
AIの活用で筋肉年齢の測定をより正確に
ただし現状のエコーでは、測定する人によって異なる結果が出てしまうという問題点があります。そこで将来的にはAI(人工知能)を活用し、より客観的な「筋肉の年齢」がわかるようにすることも目標の1つとされています。その検査も、病院のような医療機関で行うのではなく、小型の機器やスマホのアプリなどを使って、どこでも簡単に測定できるようにするのが望ましいでしょう。「筋肉の年齢」が手軽に測定できるようになれば、高齢者は自分の筋肉の衰えを把握しやすくなります。そうすれば生活習慣の改善などの対策も取りやすくなり、寝たきりや転倒のリスクを防げるようになるでしょう。
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岐阜医療科学大学 保健科学部 臨床検査学科 教授 渡邉 恒夫 先生
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