X線やCTの写真から病気・けがをつきとめる「放射線科医」
いろいろな方法で体の中の写真を撮る画像診断
画像診断は、外から見るだけではわからない体の中の様子を写真に撮り、体を傷つけずに病気やけがの状態を調べる医療技術です。
1895年にドイツのレントゲン博士が放射線の一種であるX線を発見し、X線(レントゲン)検査が行われるようになって以来、画像診断はずっと進化を続けています。現在では、X線を使って体の輪切り画像をとるCT検査、磁力を使うMRI検査、超音波(エコー)検査などが、体の部位や症状に合わせて使い分けられています。
わずか数ミリのがんも見つけ出す放射線科医
医療画像を読むには、スペシャリストである「放射線科医」の力が必要です。例えば肝臓のCT画像に丸いものが写ったとします。それはがんか、良性の腫瘍(しゅよう)かもしれません。そこで、血管に「造影剤」という薬を流します。放射線科医は造影剤が丸いものの中をどのように流れるか画像で見て、「肝臓がんの可能性が高い」といった診断をします。
画像に写ったものの正体を言い当てられるのは、放射線科医がさまざまな病気の画像の特徴を研究し、パターン化しているからです。画像診断の機器も放射線科医のスキルも進化して、わずか数ミリの病変を見つけたり、がんの種類を見分けたりすることも可能になっています。
迷路のような血管をたどり、病変を治療
放射線科医は治療を行うこともあります。「IVR」は、X線や超音波などの画像を見ながら、カテーテル(細いチューブ)や針を使って治療する技術です。例えば交通事故で内臓が傷つき出血しているものの、腹部を切って手術をすると大量出血してしまうようなときに、IVRで止血をします。血管にカテーテルを入れて、画像を見ながら迷路のような血管を正確にたどってカテーテルを出血部位の近くまで進め、血管につめものをして血を止めるのです。
頭のてっぺんからつま先まで全身の診断・治療にかかわる放射線科の医師は、すべての診療科にとって、なくてはならない存在なのです。
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先生情報 / 大学情報
金沢大学 医薬保健学域 医学類 教授 小林 聡 先生
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放射線科学、医学先生が目指すSDGs
先生への質問
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