眼に見えない身体の中を放射線で撮影し画像化する「診療放射線技師」
診療放射線技師は放射線を扱うスペシャリスト
病院で受けるX線撮影やX線CT(コンピュータ断層撮影)検査、血管造影検査は、放射線の一種であるX線を用いて、肉眼では見えない身体の中の様子を撮影し画像化することで診断に役立てる技術です。これら放射線画像検査では、専門の診療放射線技師が撮影にあたります。
診療放射線技師は医師の指示のもと、機器を操作し患者さんに寄り添いコミュニケーションをとりながら、身体の中の撮影を行います。またこうして発見されたがんなどの疾患に対して、治療計画に基づき放射線治療も担当します。
最小限の放射線量で正確な撮影を
放射線の照射が人体に与える影響は全くないとはいえません。しかし、X線CTやPET(ポジトロン断層法)など最新の技術を使った放射線画像検査では、今や1cm程度の小さな病変でも発見できるようになっており、病気の早期発見・治療という大きなメリットがあります。人体の撮影で難しいのは、普通の写真と異なり、撮影した画像と実物を眼で診て比較できない点です。正しい撮影ができなければ誤診のリスクにつながるため、できるだけ少ない放射線量で、いかに多くの情報を正確にとらえた画像を撮影できるかが重要です。そしてそれは、診療放射線技師の知識と技術、および経験にかかっているのです。さらに、診療放射線技師には画像の撮影だけでなく、画像を評価(読影)する能力も必要です。
治療の効果判定でも重要な画像診断
画像診断は病気の早期発見だけでなく、治療の効果判定や経過観察においても重要な役割を果たします。そのため、患部をいつでも同じ条件で撮影し、医師が正しい判断を下すために必要な画像を提供するスキルが求められます。現在は乳がん検査のマンモグラフィーや、全身を細かく検査できるX線CTへのニーズも、ますます高まっています。放射線の特性や人体への作用、機器に関する高度な専門知識と技術を持った上で、「より早く・より安全に」、患者さんに優しい検査や治療が行える診療放射線技師が求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
森ノ宮医療大学 医療技術学部 診療放射線学科 教授 小縣 裕二 先生
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