見えないものを見せる!? 画像診断が患者を救う!
体の外から病気を探る「画像診断」
「画像診断」は、放射線や超音波などで、体の外側から体内の様子や病気を知ることができる医療において欠くことのできない診断方法です。最近では3次元画像の処理技術も進み、まるで内視鏡カメラで見るような画像も再現できるようになりました。
しかし、撮影する放射線技師の能力や機器によって、画像にばらつきが出ることも確かです。特に乳房専用のレントゲン撮影「マンモグラフィ」は、大部分をコンピュータに任せられるほかの機器と違い、撮影する診療放射線技師の力量が試され、さらに高度な知識と技術を必要とします。
「マンモグラフィ」は超絶技巧?
マンモグラフィの特殊なところは、まず乳房がやわらかく、肉の厚みが均一でないため、およそ10キロの力がかかる圧迫板で乳房を固定しなければいけないことです。患者の姿勢をきちんと維持しないと、筋肉がこわばって痛みを感じますし、正確な撮影もできません。
また、放射線撮影は、骨などの固いところは白く、やわらかいところは黒く写りますが、すべてがやわらかい乳房では、通常よりも低いエネルギーで撮影し、0.05ミリ位の小さな石灰化(カルシウムの沈着物)や腫瘍(しゅよう)を発見する必要があるのです。さらに乳房には画像に白く写る乳腺があり、日本人は欧米人に比べて密集しているので、画像の診断が特に難しいのです。
早期診断で、乳がんを発見!
日本では女性の16人に1人、欧米では8人に1人が乳がんになります(2014年時点)。アメリカでは、患者数は増えていますが、マンモグラフィなどによる早期診断で、死亡者数は1990年頃から減少傾向にあります。日本でも乳がんの早期発見のために、マンモグラフィ検査の推進と、医療と画像処理の高い能力を持った診療放射線技師が求められています。2013年から放射線技師には、医師の診断をサポートする「読影の補助」という新たな役割も加わりました。乳がんだけでなく画像診断を支える放射線技師の役割はますます重要になっているのです。
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岐阜医療科学大学 保健科学部 放射線技術学科 教授 篠原 範充 先生
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