さまざまなテクニックで歯並びを治す
歯並びのよさはステータス
歯並びのよさは、欧米においては育ちのよさを表し、ステータスにもなっています。日本では八重歯は可愛いとされますが、外国では吸血鬼を想像させ、イメージはよくありません。こうした上下の歯の噛み合わせが悪い状態を、不正咬合(ふせいこうごう)と言います。
歯科矯正では、八重歯や出っ歯などの不正咬合を、さまざまな方法で治療します。一般的にはアーチワイヤー(矯正線)による治療が主流で、それぞれの歯に小さな金具を取り付け、それにワイヤーを通して少しずつ歯を動かしていきます。
年齢によって異なる矯正方法
歯科矯正は、子どもと大人で方法が異なります。例えば、上あごが下あごより前に突き出ている状態(上顎前突・じょうがくぜんとつ)の一例をみてみましょう。子どもの場合、骨格が大きく成長変化するため、骨の成長を考慮した治療が必要となります。ヘッドギアなどを使い、上あごの成長を押さえ、下あごとの位置関係を調整します。
成長が止まった18歳以上の大人の場合では成長変化がないため、ワイヤーで歯を動かすだけの治療になりますが、上あご、下あごの位置に大きな異常がある場合には、手術によって治療する外科矯正になることがあります。これは口腔外科の先生と共同で行う全身麻酔の手術となります。
ワイヤーによる矯正では、八重歯や出っ歯などの治療に子どもで2、3年かかります。きちんと並んでからも、歯の位置を安定させる期間が必要なので、あわせて4、5年はかかってしまう計算になります。とはいえ、かんで食べるという歯の機能を考えれば、やはり不正咬合はしっかり治療しなければならないでしょう。
手術のアフターケアにも不可欠な歯科矯正
口腔外科手術を必要とする口唇口蓋裂の人も、現在、500人に1人ほどの割合で生まれています。これは、口と鼻を仕切る口腔内上部の一部に裂け目が現れるもので、手術によって治療できます。しかし、骨の形に異常があることや手術の影響で歯並びが悪くなることが多いため、その後は矯正治療によってケアしていきます。
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