人生は口から始まる!
口呼吸は早期発見・治療が必要
人間は「食べる、息をする、話す」の3つを口によって行っています。それだけに、歯や舌、筋肉や骨など口腔(こうくう)機能の発達は、長い人生の質を左右する重要なポイントです。乳幼児期から口の筋肉や骨の発達が不全だと、食べることだけでなく、ほかの機能も影響を受けます。
常に口が開いた、いわゆる「お口ポカン」という状態は、本来するべき鼻呼吸が十分できずに口呼吸になっていると考えられます。唇を完全に閉じられない場合も含めて正式には「口唇閉鎖不全」と言います。自然には治癒しないため、適切な治療を受ける必要があります。
健康への意外なリスクも
少子高齢化が進んだ日本では、特に乳幼児期の口腔機能の発達は一生の健康を左右するという理解のもとで、国も積極的に健康保険の適用やPR活動などを行い、支援が目に見えるようになってきました。口呼吸に頼っている人は、風邪やぜんそくにかかりやすいという報告もあります。ものを食べる間も口で呼吸をしないといけないので食べこぼしが増えますし、口呼吸の人が運動をすると口の中がさらに乾いてしまい、唾液の自浄作用が低下し、歯肉炎やむし歯のリスクが高まります。また、嚥下時に舌を突き出すような習癖のある人は、上下の前歯をかみ合わせた時にすき間ができ、食べ物をかみ切りにくく、丸のみや食物を詰まらせる危険が高まるのです。
幼児期から検査や治療の網を広げる
このように害の多い口呼吸ですが、実は子どもも大人も、本人が気づいていない場合が多いのです。口腔機能の複雑さもあり、その実態調査や検査手法は研究が始まったばかりで、まだ確立されていません。子どもの場合は、保護者に一定の客観的視点で評価してもらう事で早期発見が可能で、歯科医院などで検査・診断、そして適切な早期治療を受けることが大切になります。歯科と耳鼻科などの垣根を越えた連携も必要不可欠です。幼い頃からの歯みがきに加えて口の発育を底上げしていけば、人生100年時代の大きな支えになるはずです。
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