「欲しければ作ればいい」 ユーザーの声でイノベーションを起こそう
ユーザーの声がイノベーションを起こす
企業がユーザーの意見を活用してイノベーションを起こす方法には3つほどのパターンがあります。1つはメーカーが主導するものです。無印良品の「体にフィットするソファ」はその成功例で、2003年の発売以来、主力商品であり続けています。2つめはユーザーが主体となってメーカーに働きかける例で、マスキングテープが有名です。塗装時の養生用に使うテープについて、ユーザーがカラフルな色遣いのものがほしいとメーカーに訴え、商品化されました。3つめはユーザー自らが商品を開発し起業する例です。双子の育児経験をもつ母親が安心して出掛けたいという思いから幼児2人を安全、快適に乗せられる自転車を開発しました。その方は販売に加え子育て支援も行っています。以下に述べる医療分野のユーザーイノベーションも、今注目すべき事例です。
医療分野での「ユーザー」は誰?
ユーザーは、趣味が高じたり欲しいものがなかったりという理由から自ら商品開発をします。動機を調べると、ビジネスよりも人のため、自分も楽しみたい、いいものを作りたいという思いが大半を占めます。ただし、「欲しければ作ればいい」というのが難しい分野もあります。例えば、薬は有効性と安全性を確認する試験を行う必要があり、患者が個人で開発するのは非常に困難です。自分で作りたい薬は患者数が少ない希少疾患や難病などが多く、この試験に人が集まらないこともあります。そこで、患者グループが試験の企画や実施を支援することがあります。これもユーザーによるイノベーションといえます。
患者の生活まで発想を広げて
医療の範囲を患者の生活まで広げると、障がいのある人が着脱しやすい服を考案した例、疾患で脱毛した子のために蒸れにくいウィッグ(かつら)を開発した例を見出せます。制約が多い医療分野だからこそ、ユーザーの声を生かす方法は広く模索されているのです。
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先生情報 / 大学情報
同志社大学 商学部 商学科 准教授 大原 悟務 先生
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