地域の暮らしやすさを高める「エリアマネジメント」
時代により変化する「地域経営」の意義
行政の分野で「地方の時代」が叫ばれるようになり、人口や産業の東京一極集中の是正を目的に「地方分権推進法」が施行されたのが1995年です。この頃から、地方自治体が国の補助や助成だけに頼らず、地域が持つさまざまな資源を活用して自主自律する「地域経営」という考え方が注目されるようになりました。当初は「地方行政に経営的な視点や手法を取り入れ、地域経済を活性化すること」に主眼が置かれていましたが、人口が減少していく社会の中で「生活環境や市民社会と地域経済のバランスを取りながら、持続的な暮らしやすさを保つこと」が地域経営の意義として重要になってきました。
「シャッター通り商店街」は本当にマイナスか?
例えば、地方都市の駅前などの商店街が郊外型の大型店にお客をとられてさびれてしまう「シャッター通り」は、一般的にはマイナスイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。駅前の繁華街の地価が下がれば、外部資本が入って再開発する可能性が出てきます。このように外部からみると一見「よくないこと」でも、地域にとってプラスかマイナスかを判断する基準は一つではありません。
「エリアマネジメント」の発想へ
これからは、今まで地域の問題とされてきたことが「本当に問題なのか?」と視点を変えて見ることが必要です。商店街の空き店舗が増えること自体が悪いのではなく、そのまま空き店舗が住宅化してしまい、二度と商業地に戻らなくなるのをどのように考えるのかが問われています。そこで重要となるのは、特定の地域に対して地域住民や地元の企業、商店、NPO、NGO、大学などといったさまざまな人たちが関心を持ち、解決策を模索することです。
「空き店舗でイベントや文化発信をする」「高齢者福祉に利用する」などといったいろいろな視点からのアイデアや資源を出し合い、地域を維持するためにそれらを有効活用する「エリアマネジメント」の発想が求められているのです。
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公立鳥取環境大学 経営学部 経営学科 准教授 倉持 裕彌 先生
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