なぜ夏休みの旅行代金は高いのか~価格差別のメカニズム~
需要には「弾力性」がある
価格を下げることで売り上げが跳ねあがる商品があれば、価格により売り上げが左右されない商品もあります。このような状況を、経済学では価格の変化に対して需要の「弾力性」が大きい、あるいは小さいと表現します。例えば旅行は一般的に需要の「弾力性」が大きい商品で、価格を下げると需要が伸びます。しかし、ゴールデンウィークや夏休みになると旅行の価格は高くなります。この時期は価格が高くても需要が減らないからです。企業は、需要の弾力性を巧みに利用して、同一の商品に対して異なる価格をつけることがあります。そうすることでトータルの売り上げが増えるからです。
いたるところに「価格差別」
身の回りを眺めると、企業はこのような「価格差別」をさまざまな形で行っていることがわかります。学割やシニア割、クーポンの配布やスタンプカードはもちろん、変わったところでは美容室や英会話の初回無料キャンペーンなども価格差別に当たります。こうした利用経験を積まないと良さが伝えられない商品のことを「経験財」といいます。実際に経験して気に入ってもらえれば、その後は多少費用がかかっても継続して消費してくれるだろうという狙いがあります。
牛丼が280円になった「理由」
経済学では需要と価格の関係を需要曲線で表しますが、現実の企業は自社製品に対する需要曲線を知らないので、価格をいくらにしたら利益が一番出るかは手探りで探さなければなりません。そのためにセールを行ったり、期間限定で販売したりして消費者の反応を探っているのです。ときには大規模な価格実験を行うこともあります。例えば、2000年代初頭のファストフード戦争のとき、大手牛丼チェーンが牛丼を280円にしました。これには裏づけがあり、いくつかの店舗で少しずつ価格を変えた結果、最も利益を上げたのが280円だったのです。このようにして、企業は価格実験を行って需要の弾力性に探りを入れることもあります。当時牛丼が280円になったのには、それ相応の経済学的理由があったのです。
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立正大学 経済学部 経済学科 教授 小野﨑 保 先生
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