「フリーランス」は「労働者」のように守られていない?
フリーランスは労働法の適用外
労働基準法をはじめとする労働法において、「労働者」とは、「事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」とされています。つまり、企業に勤務する正社員、契約社員、パート、アルバイトなどは、「労働者」に含まれます。労働者であれば、労働法によって、事業者が最低賃金を支払う義務があるなど雇用条件が定められており、労働者側が一方的に不利にならないような仕組みができています。
一方、企業から個別に業務を請け負うフリーランスは、企業に使用されるのではなく、働き方に裁量のある関係だと判断されるため、労働者ではなく、労働基準法などが適用される対象となっていません。
実態を分析する
しかしフリーランスでも、企業に出社してある程度の時間を拘束されて働くケースや、企業との個別契約によって営業活動をするケースなどもあります。雇用に近い条件で働いているのに、最低限の報酬の保証を受けられないとか、いきなり契約を解除される、といった問題も起きています。労働者と同様の働きが求められるような実態があるのであれば、フリーランスも労働者に準じた形の法的な保護が受けられるべきだという意見も出されています。そうした法整備をするなら、まず労働者とフリーランスの働き方の実態がどのように違っているのかを、分析する必要があります。そのうえで、労働法以外の部分でフリーランスをサポートする仕組みを構築する、という解決方法も考えられます。
法整備が適切かどうかを考察する
これは世界中で起こっている問題であり、労働形態の多様化にともなって表面化しています。かつて労働法が作られたころとは社会背景が大きく変化しており、法律が現実に追いついていない一例だと言えるでしょう。
労働法の研究においては、こうしたケースで、どのような法整備が必要なのか、その法律は社会や労働の実態と整合性がとれているのか、などが考察され、研究の成果は、将来の政策や法案作成に役立てられていきます。
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千葉大学 法政経学部 法政経学科 教授 皆川 宏之 先生
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