日本の祝日は、どんな理由からどんな法律で決められてきたの?
明治時代の最初の祝日法
日本における祝日について定めている法律は、「国民の祝日に関する法律」、通称祝日法と呼ばれるものです。この祝日法の発祥をたどっていくと、明治6年に発せられた布告に行き当たります。明治6年1月1日に、それまでの旧暦から太陽暦(西暦)に変更されたことにともなう法令でしたが、当時は皇室に関連する祝日が年に10日程度あるのみでした。ちなみに当時はまだ週末が休みになることも一般的ではなく、明治9年にようやく日曜は休日、土曜は半休という法令が定められました。また、祝日には子どもたちの多くは学校に行って、校長の訓示を聞かなければならなかったのです。
第二次世界大戦後の紆余曲折
明治から大正、昭和と時代が変わるにつれ、天長節(天皇誕生日)を中心に祝日に関する法令は、幾度か調整が加えられます。そして、第二次世界大戦で日本が敗戦を喫した後、昭和23年7月、新たに「国民の祝日に関する法律」が公布されます。この時に定められた祝日は、元日、成人の日、春分の日、天皇誕生日、憲法記念日、こどもの日、秋分の日、文化の日、そして勤労感謝の日でした。当時まだ日本を占領していたGHQの意向などもあり、かつての紀元節、現在の建国記念の日がいったん祝日のリストから抜かれていたり、かつての明治節(明治天皇の誕生日)は文化の日に置き換えて入れ込まれたりと、この法律の制定には、さまざまな紆余曲折があったことがうかがえます。
祝日は何のためにあるのか
その後、「国民の祝日に関する法律」には、振替休日や国民の休日、ハッピーマンデー制度が適用され、年間の祝日の数もかなり増えました。一方で「この日はそもそもどんな意味があって祝日になっているのか?」という意識は、私たちの中で次第に希薄になっています。
祝日は法律で決められ、私たちの生活に深く関わっています。このような身近な事柄も、法制度やその歴史を考えるテーマとなり得るのです。
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専修大学 法学部 法律学科 教授 坂誥 智美 先生
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