呼吸器内科学の挑戦:発がんの予防法・治療法を探る!
どうやって病気の診断・治療をするの?
呼吸器の病気には多くの種類がありますが、呼吸器内科医としての仕事は、情報を集めて診断を行い、主に薬を使って治療を行うことです。呼吸器疾患の中では、肺がんの占める割合が高くなっています。「がん」という病気を治療するため、分子標的療法や免疫療法などさまざまな治療法が開発されてきました。分子標的療法は、がんを起こした遺伝子異常を標的にした治療であり、免疫療法は、もともと人間が病気から身を守る免疫機能を活用してがんを抑えようとする治療法で、近年高い効果を上げています。
「がん」とどう向き合う?
日本人の2人に1人ががんになると言われています。誰にとっても他人事ではない「がん」という病気ですが、できればがんになる前に予防するに越したことはありません。がんを予防するためには「人はなぜがんになるのか」を知る必要があります。がん研究振興財団は、がんを防ぐ生活習慣や行動として「がんを防ぐための新12か条」を提案しています。「たばこは吸わない」「お酒はほどほどに」など当たり前のことですが、こうした当たり前のことががん予防には効果的なのです。これらの環境因子以外にも、がんと細菌・ウイルスとの関係もわかってきました。肺がんに関しては、細菌・ウイルスとの関与は乏しく、現在一番有効な予防は禁煙になります。
さらなる進化を続けるがんの予防と治療
がんの原因を明らかにするために、分子生物学的研究も行われてきました。これらの成果を通じて、より効果的な予防法が見つかる可能性があります。免疫機能も、がんの発生の早い段階で関わっていることがわかってきました。発がんのメカニズムの解明によって、治療法もより進化していくでしょう。人間の体は単純なものではありませんが、がんの予防や治療について、さらに進化を推し進めれば、いずれがんという大きな敵に勝てる可能性はあるのです。
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大阪公立大学 医学部 医学科 教授 川口 知哉 先生
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