コンピュータが「文字」を認識できたら何ができる?

コンピュータが「文字」を認識できたら何ができる?

「文字」から多くの情報を獲得

私たちは看板や標識などの文字を一つひとつ認識することで、目的の場所に行ったり、さまざまなものを判別し、使いこなしたりしています。文字から多くの情報を得ることで、毎日の生活を円滑に送っているとも言えます。ただ、看板など文字量の多い街中や、外国語を用いる海外などでは、必要な文字を探し出したり、読み解いたりすることが困難な場合もあります。現在、風景などの画像から、コンピュータを使って文字を検索し、判読する「文字認識」技術の研究が行われています。

外出支援サービスへの活用も

今、研究されているシステムは、手書きや斜めなどの文字でも認識でき、処理速度が速いことが特徴です。実際に街中でさまざまなパターンの文字をカメラで撮影し、その膨大な画像をデータベースに蓄積することで、精度と処理速度の向上を図っています。将来的には、音声機能と連動させ、視覚障がい者に信号や横断歩道などを知らせて、外出をサポートするシステムが開発される可能性もあります。また、翻訳機能と組み合わせれば、街中の文字が翻訳されて、海外でスムーズに目的地に行けるというサービスにも活用できます。このように、文字認識は、多彩な分野で幅広く応用できる技術でもあるのです。

見たり読んだりした文字から、その人がわかる!?

「アイトラッカー」と、文書画像の検索を組み合わせた「リーディング・ライフログ」という取り組みも行われています。アイトラッカーとは、メガネのように人の顔に装着する機械が眼の動きを察知し、人が見たものを記録する技術です。その人が1日に何文字を見たり読んだりしたかという、「万歩計」ならぬ「万語計」ともいえる使い方ができます。日常生活の中で触れた「文字」から、書籍、看板、標識などを特定し、分析することで、その人の趣味、志向、生活パターンなどを知ることもできます。これらの分析結果は、企業の販促計画や商品開発のためのマーケティングデータをはじめ、顧客サポートを充実させるヒントとしても有効と考えられています。

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先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 工学部 情報工学科 准教授 岩村 雅一 先生

大阪公立大学 工学部 情報工学科 准教授 岩村 雅一 先生

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情報工学

メッセージ

画像、文字、顔などの認識は、人には簡単なのに、機械には簡単ではありません。人ができるのだから、機械にも人と同じ方法で認識させればいいと思うかもしれませんが、誰も自分がどうやって認識しているのかを知らないのです。ここにこの問題のおもしろさがあります。認識の確かさではまだまだ機械は人に及びませんが、大量・高速な処理においては人の能力を大きく上回っています。機械の性能を上げることも重要ですが、人と機械の長所をうまく組み合わせることで、私たちの暮らしがより便利に豊かになればと思っています。

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