みんなの生活と経済を 豊かにする「物」の「流」れ
地域と地域を結び、地域の経済を支える物流
私たちの生活は、モノの流れ「物流」によって成り立っています。例えば、ある高級ポテトチップスは、北海道のブランドジャガイモを鹿児島県まで運び、そこで加工されて全国各地に運ばれ、販売されています。自動車産業でも、北海道などで製造された自動車部品が中部地域に運ばれて自動車として組み立てられ、全国各地で販売されます。地域経済はお互いに交易しあい、成立しています。その交流を下支えしているのが「モノの流れ、物流」なのです。
北海道から全国各地への輸送距離は欧州を超える
物流の一つの機能として、「空間の隔たり(地域間の距離)」を埋める役割(輸送)があげられます。
北海道から全国各地への輸送距離はどの程度なのか、世界の食品輸出大国であるオランダを北海道に置き換えて考えてみましょう。
北海道から関東までの直線距離は約830キロです。オランダ・アムステルダムを起点として、800kmの円を描くとフランスやスイス南部にまで及びます。北海道から関西までの距離は約1,000キロあり、オランダから地中海にまでの距離に相当します。沖縄県までの距離となると、北アフリカまで行くのと同じ距離です。
重要な社会インフラである物流を守ろう
物流に係る様々な問題が発生しています。もし、北海道と本州をつなぐ青函トンネルが使えなくなった場合、北海道から他の地域にモノが届かなくなります。そうなった場合、ポテトチップスの例のような「地域をまたぐサプライチェーン」や「全国的な生産」に影響が及び、数兆円にも及ぶ経済的な損失が発生します。特に北海道との繋がりが強い関東圏は、北海道を越える経済的影響を受けることになります。それほど、物流は地域間のつながりにとって重要なのです。
輸送手段にはトラックや鉄道、船などがありますが、ドライバー不足や鉄道路線の廃線といった課題が山積しており、物流の効率化が急務となっています。さらに、モーダルシフトや効率化によって環境負荷を小さくすることも必要です。
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北海商科大学 商学部 商学科 教授 相浦 宣徳 先生
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