講義No.06535 経営学・商学

新製品開発成功の鍵は、イノベーションの仕組みづくりにあり!

新製品開発成功の鍵は、イノベーションの仕組みづくりにあり!

新しいモノを作るだけがイノベーションじゃない

経営学においてイノベーションとは「新しい製品を作り、そこから経済的見返り(利益)を得ること」と考えられています。新製品開発において、どういうものを作るかという技術レベルのことはもちろん大事ですが、きちんと売れて利益を獲得することが大切なのです。そのためにはモノを作るだけでなく、競合他社に利益を奪われない仕組みを作ることも必要になってきます。

AmazonのKindleが成功した理由

Amazonの電子書籍リーダーKindleというヒット商品があります。先行商品の他社の電子書籍リーダーは画面も見やすく、機能的には優れていましたが、なぜかあまり売れませんでした。
Kindleがヒットしたのは機能以外の部分、コンテンツに力を入れて開発したからでしょう。具体的には、電子書籍のコンテンツを提供する出版社に補助金を出すというシステムを作ったのです。コンテンツの販売だけ考えると赤字になっても、その分書籍リーダー自体が売れるので利益が出ます。もともと出版社は電子書籍に積極的な会社は少なく、既存の利益を脅かす存在と敬遠していたのですが、Amazonのシステムを利用すると参入するきっかけが掴みやすかったのです。こうしてKindleの幅広いコンテンツを用意できたというのがヒットの大きな要因です。

常識にとらわれない広い目で考えよう!

現在、さまざまなモノの境界線が曖昧になっています。例えばiPhoneは電話であるけれどカメラでもあり、本も読め、鏡にもなります。いろいろなコンテンツを提供するために、アプリ制作会社などをうまく巻き込んで利益を上げることにAppleは成功したのです。イノベーションにおいては既存の常識を疑ってかかることも重要です。マーケティングもお客さんの声を反映するだけではなく、「そこにないもの」を見つけるために行います。広い視点で、長期スパンで考えていくことが優れたイノベーションにつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

成城大学 社会イノベーション学部 政策イノベーション学科 准教授 久保田 達也 先生

成城大学社会イノベーション学部 政策イノベーション学科 准教授久保田 達也 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

イノベーション学、経営学

メッセージ

「イノベーション」とは、これまでにない新しいものを生みだし、経済的な価値を獲得していくことと定義されます。
少し難しいと感じるかもしれませんが、実はあなたの身の回りはイノベーションであふれています。イノベーションがどのようにして生まれてくるのか、どのように広がっていくのかを考えるのが私の研究領域です。経済学、経営学だけでなく政策学、心理学、社会学といった広い観点が必要になってきます。イノベーションを考える視点を見つけたい人はぜひ一緒に学んでいきましょう!

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成城大学は小田急線「成城学園前」から徒歩4分、世田谷の住宅街にあります。キャンパスは自然が豊かで、全学部の学生が4年間学びます。学生数約5700名に対し、教員数は約570名。少人数の授業が多く、学生一人ひとりの個性を伸ばすことを重視しており、アットホームな雰囲気です。本学が学園創立以来大切にしてきた「個性尊重」の理念は100年以上受け継がれ、その中核である全学生必修のゼミナールでは、教員や学生同士が積極的に対話することで、学生一人ひとりが多様化する世界で活躍できる知性と感性を磨きます。