新製品開発成功の鍵は、イノベーションの仕組みづくりにあり!
新しいモノを作るだけがイノベーションじゃない
経営学においてイノベーションとは「新しい製品を作り、そこから経済的見返り(利益)を得ること」と考えられています。新製品開発において、どういうものを作るかという技術レベルのことはもちろん大事ですが、きちんと売れて利益を獲得することが大切なのです。そのためにはモノを作るだけでなく、競合他社に利益を奪われない仕組みを作ることも必要になってきます。
AmazonのKindleが成功した理由
Amazonの電子書籍リーダーKindleというヒット商品があります。先行商品の他社の電子書籍リーダーは画面も見やすく、機能的には優れていましたが、なぜかあまり売れませんでした。
Kindleがヒットしたのは機能以外の部分、コンテンツに力を入れて開発したからでしょう。具体的には、電子書籍のコンテンツを提供する出版社に補助金を出すというシステムを作ったのです。コンテンツの販売だけ考えると赤字になっても、その分書籍リーダー自体が売れるので利益が出ます。もともと出版社は電子書籍に積極的な会社は少なく、既存の利益を脅かす存在と敬遠していたのですが、Amazonのシステムを利用すると参入するきっかけが掴みやすかったのです。こうしてKindleの幅広いコンテンツを用意できたというのがヒットの大きな要因です。
常識にとらわれない広い目で考えよう!
現在、さまざまなモノの境界線が曖昧になっています。例えばiPhoneは電話であるけれどカメラでもあり、本も読め、鏡にもなります。いろいろなコンテンツを提供するために、アプリ制作会社などをうまく巻き込んで利益を上げることにAppleは成功したのです。イノベーションにおいては既存の常識を疑ってかかることも重要です。マーケティングもお客さんの声を反映するだけではなく、「そこにないもの」を見つけるために行います。広い視点で、長期スパンで考えていくことが優れたイノベーションにつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
成城大学 社会イノベーション学部 政策イノベーション学科 准教授 久保田 達也 先生
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