航空路の混雑を防ぐ! 飛行機の遅れをお金で解消できるのか
空の道も混雑する
空にも「航空路」という、航空機用の道があります。朝や夜は航空路の交通量が増えるため、地上の道路と同じように混雑が発生します。そのため飛行機の離陸や着陸に、よく遅れが生じるのです。
航空管制官は、特定のポイントに早く着いた飛行機から順に航空路を使うよう指示を出します。しかし飛行機にはビジネスや乗り換えなどの理由で定刻通りに着かないと困る乗客が多い便もあれば、もしチケット代が安くなるなら多少の遅れは喜んで受け入れる(かもしれない?)ような観光客が多い便もあります。このように異なる事情を抱える飛行機を、単に早いもの順で通すのは本当に効率がよいといえるでしょうか。
お金を使って混雑を解消
航空路の混雑問題をお金の力で解決しようと、ミクロ経済学の研究が行われています。例えば混雑料金の導入です。ラッシュアワーの航空路使用料金を高めに設定して、ほかの時間帯は安くします。すると急ぎではない便や、安く通りたい飛行機はラッシュアワーを避けるようになり、混雑が緩和されます。これはテーマパークのファストパスと同じ仕組みです。ファストパスは、待機列に並びたくない人が入園料とは別にお金を払って買うものですが、この制度を航空路にも適用できないかと、ミクロ経済学のモデルで分析が行われています。
価値を高めて社会をよくする
モデルを使うと、遅延時間に対する損失額や価値の変動を推測可能です。例えば10機の飛行機が5分待った場合は、50分相当の費用や価値が失われます。もし1機でも「ほかより高いお金を払うからすぐに通してくれ」と希望してそれが受け入れられた場合は、早く通してもらえた飛行機の乗客の「時間通りに着いてよかった」という満足度を上げることができ、社会全体の効率もよくなることが分かっています。
このように価値が最も高くなるような条件を適用すれば、社会全体の効率がよくなるとミクロ経済学では証明されています。この理論を航空路の交通管理にどう落とし込めばよいのか、検討が続いています。
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