都市を支える貨物交通の計画
都市形成と密接に関わる貨物交通
世界中のほとんどの都市は、貨物交通の要所にて形成されました。東京も江戸時代から港湾都市として発達してきた歴史があります。近代以降、工業地帯が沿岸地域や河口周辺に発達しましたが、これらの場所が、原料を運び製品を出荷するのに便利だったからです。現在でも、貨物交通システムの構築・維持は重要な課題です。
物流の進化と都市貨物交通の課題
情報通信技術の発達により、物流(=ロジスティクス)は進化を続けています。今では、消費者のニーズがリアルタイムで把握できることから、商店に並ぶ品々は、購入・消費が予測される分量だけ入荷されます。モノの流れが、より「オンデマンド」になっているのです。現在、コロナ禍もあり、急成長しているオンラインショッピングはこのトレンドの上にあります。このような物流のシステムにおいては、製品を一刻も早く消費者に届けるために、配送センターやフルフィルメントセンターといった、荷物を処理するための大規模な施設が必要になります。それらの大規模施設のための用地の確保が今、課題となっています。
また、モノの流れがよりオンデマンドになることで、モノがより高頻度に運ばれることとなり、その結果、交通システムに対する負荷が増えています。例えば、配送用トラックの駐車場所の確保は大きな課題です。また、交通混雑の激しい都市の中心部にモノを運ぶためには、とても高い費用がかかります。トラックによる交通渋滞、排気ガス、騒音、事故も社会にとって、とても大きなコストです。都市貨物交通の改善は、より住みよい社会の実現にとって、とても重要です。
シミュレータの開発
ドローン、自動運転自動車、配送ロボット、等の新しい技術が開発され、また、夜間配送、共同配送、クラウド配送など、新しい施策提案されています。これらの技術・施策が、将来の都市貨物交通にどのような影響をもたらすか、分析をすることが必要です。このような分析を行うためのシミュレータが開発され、様々なシナリオの評価に用いられています。
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先生情報 / 大学情報
東京海洋大学 海洋工学部 流通情報工学科 准教授 坂井 孝典 先生
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