各地の文化や景観、地域住民を守る、地域マネジメント
最適なまちづくりとは
近年、観光による地域経済の活性化や異文化交流などのまちづくりが注目されています。ただ、観光によって経済だけが潤っても、そこに住む人々への弊害や、地域らしさなどが失われることは避けたいものです。
例えば今、海外の資本が北海道のニセコなどでリゾート開発に参入しています。これが無計画に進むと、自然環境だけでなく、そこに住む人々のライフスタイルや食文化にも影響を与えます。また、人気の観光地である京都は、国内外から観光客が集まりすぎるオーバーツーリズムの状態です。住民の日常生活に負担がかかっているのです。
その地域のありかたを考える
そこで重視されつつあるのが、地域マネジメントです。これは、地域の文化やコミュニティなど、その地域のありかたをメインに、都市計画や観光、運営のしくみを考えることをいいます。
日本には、地域ごとに文化があります。古くから日本人は四季、地震、台風といった自然現象や、海や山、平野など、その地の自然環境と調和しながら生活や産業を営み、歴史を築いてきました。これは、地域の文化遺産といえます。多くの人が大切に思う、そうした文化や価値観を軸にし、人口減といった地域課題も考慮しながら、グローバル化や多様性などの社会変化に対応したマネジメントが大切です。
愛される地域を目指すマネジメント
さらに、開発などをコントロールできるのは行政なので、官民連携も不可欠です。その実例のひとつが、北海道北広島市による日本ハムファイターズ球団の新球場の誘致です。市はどんなまちづくりで魅力を打ち出すのか、球団とともに検討を重ね、球場のほかに食やグランピングの施設、ホテル、農業体験施設など、いつでも楽しめる環境を整えました。ほかにも、ある港町では地域形成の象徴である北前船文化をキーワードに、官民連携で活動しています。
このように、グローバルとローカル、文化と経済、官と民などを多角的に検討しながら最適なマネジメントを模索することが、住民をはじめ多くの人に愛される地域につながるのです。
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先生情報 / 大学情報
北海商科大学 商学部 観光産業学科 教授 池ノ上 真一 先生
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地域マネジメント学、観光学、商学先生が目指すSDGs
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