ビッグデータで「人々の幸福」を実現できるマーケティングを考えよう
データがわかれば心が見える?
ビジネスの現場では、商品開発でも広告宣伝においても、消費者の傾向を数字で評価するため、データが重視されてきました。昔はそれらをアンケートやPOSデータ(レジの売り上げデータ)から得ましたが、今はビッグデータが注目されています。売れた数だけでなく、それ以前の購買履歴、ネットでの検索や閲覧時間、行動範囲などいろいろな側面から消費者の心を理解する幅が広くなるからです。
また、買おうとしたけど購入をやめた商品、SNSでの口コミなどリアクションの広がり、といったこれまで理解することが難しかった消費者の行動が理解できるようになっています。
あらゆる場所で活用されるデータ
例えばGoogleなどのネット広告は、ビッグデータをもとにどの商品を誰に見せるかを決定しています。ネットに限らず、「気温が30度を超えるとかき氷が売れ始める」といった、一部でだけ予想されていた事実も数値で把握できるようになりました。ほかにも、自動車であれば、修理データを集めれば適切なメンテナンスの時期がわかります。また走行データから車がブレーキをかけた場所を解析し、見えにくい信号機を改善するなど行政サービスにつながった例もあります。外食産業では季節や周辺のイベントによる客層の変化や注文の多いメニューの把握、遊園地などでは来場者の年齢層やリピーターの数の把握をしています。
注目されるデータサイエンティスト
今後、これらのビッグデータを分析する「データサイエンティスト」はさらに必要とされるでしょう。ただし、どんなにデータの扱いが上手でも、商品やサービスの真の魅力を深く考えられる人でなければ正しい分析はできません。またこれからは、企業活動が社会的な幸福にどれだけつながるか、という視点も重要です。正しく利益を上げつつ、その経済活動が全体の幸せと結びつけば、働く人々を幸福にし、企業そのものの存続にもつながります。そうした視点で「データ」を考える人が求められているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
横浜市立大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 教授 上田 雅夫 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
マーケティング、データサイエンス先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?