ソフトウエアの不具合を「アリ」や「鳥」の群れが探し出す?
ソフトウエアの不具合をAIで発見
ソフトウエアの品質を確かなものにするために、不具合のチェックは欠かせません。しかしそれには大変な労力と時間が必要です。そこで「群知能」と呼ばれるAIを使って、「自動で」「わかりやすく」「ソフトウエアを実行せず」不具合を発見する技術が研究されています。群知能とは、群れを作る生き物のふるまいをモデルにした人工知能です。
アリの動きをシミュレーション
昆虫のアリは、エサを見つけたアリのフェロモンを検知して、続々と集まって行列を作ります。このアリのふるまいを不具合発見に利用します。例えばECサイトのソフトウエアであれば、ログインから商品検索、商品を買い物かごへ入れる、といったフローをいくつものアリのプログラムにたどらせて不具合を調べさせます。アリはフェロモンの代わりに数値で情報交換しながら、より不具合のありそうな高い数値を持つアリのところに集まっていき、不具合を見つけるのです。もっともアリだけでは不具合のありそうな場所の判断ができないので、人が培ってきたノウハウをプログラムに反映させて役立てます。
鳥の群れをシミュレーション
アリのモデルでは、アリ同士が詳細な情報交換をするため、アリの数が少なくても機能できる反面、コンピュータへの負荷が大きくなります。そこで、負荷を減らすためにふるまいをより単純化した鳥の群れのモデルも開発されています。鳥は、近くに鳥がいたら集まる、というシンプルな動きをします。そこにノウハウを組み込んで、不具合の周りに鳥が集まるように設計します。鳥の群れごとに調べる範囲を割り当てて、効率化を図ることが可能です。
鳥の群れのモデルはアリのモデルほど細かい調整はできないので、それぞれのモデルに一長一短があります。また、アリや鳥に限らず、クジラやコウモリなどさまざまな群れを作る生き物をモデルにした方法がたくさんあります。どれがどんな不具合発見に最適であるのかを明らかにすることが目標とされています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。