金属をリサイクルするなら、環境に優しい方法で!

金属をリサイクルするなら、環境に優しい方法で!

金属でトコロテンを作る?

アルミをはじめ、さまざまな金属が収集され、リサイクルされています。リサイクルするために金属を溶かしていますが、その際、環境に大きな負荷をかけてしまいます。金属を溶かすには高温にする必要があり、熱エネルギーを大量に消費し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素もたくさん排出するからです。しかも、この方法でリサイクルできるのは集めた金属の5~6割に過ぎず、残りはゴミとして廃棄されてしまいます。
そこで、溶かさずにリサイクルする方法が研究されています。集めた金属を圧縮して固め、それを穴の開いた容器に入れ、強い力で押し出す方法です。穴からトコロテンのように、棒状の材料が出てくるというわけです。金属を柔らかくするために熱は加えますが、溶かす方法に比べて半分のエネルギーで済み、二酸化炭素排出量も5~6割に抑えることができます。しかも9割以上をリサイクルできるのです。

複雑な断面のものを作るには?

従来は、上記の方法で作れるのは角材や丸材といった断面が対称形の材料でした。実際の現場では、断面がL字型やH字型をしたものが良く使われます。こういう形のものを作ろうとすると、押し出す際の穴との摩擦で曲がってしまいます。そこで、場所によって、金属材料と穴の表面が接触する距離を変える方法が考案されました。コンピュータシミュレーションで検証し、実験装置を使って実際に材料を作って確認され、アルミ合金や真ちゅうで真っすぐな材を作る方法がわかっています。

棒状でないものにチャレンジ!

ただし、日常生活で使用する金属は、棒状ではなく、缶やおわんのような形が多いでしょう。工業分野でも同様です。こういう形は、板状の金属に圧力をかけて曲げて作ります。溶かさないリサイクル方法で作った板は、均質にはならず、顕微鏡で見ると弱い部分や微小な穴が見られます。そのせいで、曲がり具合が強すぎると、そこからちぎれたりしてしまうことがあり、その解決のためにさらなる研究が進められています。

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山陽小野田市立山口東京理科大学 工学部 機械工学科 准教授 千葉 良一 先生

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機械工学

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メッセージ

人生を決めるにあたり、周りの目や評価などに惑わされないでください。自分のやりたいことをやり、興味が持てて没頭できるような仕事に就くことを勧めます。誰かの役に立てば、それは立派な仕事です。また、高校時代は、チームプレーと継続力を身に付けるために、部活動や課外活動にも力を入れましょう。何をやるにもチームワークが必要ですし、能力やセンスよりも、継続することが重要です。
ところで、作家の喜多川泰さんの本を読んだことはありますか?考え方などに大きなインパクトを与える本なので、若いうちに読むと良いでしょう。

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山陽小野田市立山口東京理科大学は「確かな基礎教育」を掲げ、基礎学力を育成する体系的な教育を行っています。2016年4月、公立大学法人へと移行、2018年4月西日本初の公立の薬学部を設置し、工学部・薬学部の二学部体制となりました。東京理科大学の姉妹校として、基礎学力を重視した実力主義の教育を受け継ぎ、工学・薬学の専門的な学術を教育・研究するとともに、地域産業界・医療界で活躍する人材を育成します!