遺伝子のしくみをビッグデータから探る!
遺伝子の仕組みは「オミックス」で解明!
ゲノム情報(DNAで書かれた遺伝情報)は、現在では比較的容易に入手できるようになりました。誰もがインターネットでいつでもみることができます。生命の設計図といわれるゲノム研究は、世界中で進められていますが、まだわからないことも多い現状です。遺伝子は複数で協調して働くのですが、どのようなしくみでできるのでしょうか。その答えを探るべく、ゲノムをはじめ生体内のさまざまな物質(DNA、RNA、 タンパク質など)のすべてを把握しようとする、研究が注目されています。ギリシャ語の「すべて」を意味するomeと「学問」を示すicsを組み合わせてomics(オミックス、オーミクス)と呼ばれる分野です。データ量が大きいため、情報科学のスキルも重要となる分野です。
ものづくり植物
現在のバイオマス量(存在している生物の総量)として一番多い生き物をご存知ですか。答えは植物で、約8割を占めます。植物は光合成で炭水化物をつくりますが、光合成以外にも、環境に適応するためにさまざまな物質をつくります。例えば、強い紫外線は植物にとっても有害です。そんな時にはアントシアニンという色素をつくって自分を守ります。また植物が傷つけられると、樹液を出して傷をふさぐこともします。ではこの樹液を出すという反応を、細胞レベルで考えてみるとどうでしょうか。隣の細胞が傷ついたことをどのように知り、樹液スイッチを入れるのでしょうか。
ゲノム情報を活用した品種改良
ゴムノキは、傷つけられるとラテックスというタイヤなどの原料になる成分を含む樹液を出します。この植物由来のラテックスは、工業原料として精密機器などにも利用されています。生産性が高く、病気になりにくい株をつくるため、ゲノム情報が活用されています。生産性に関連する遺伝子を知るためには、生産性の異なるゴムノキの遺伝子を比較します。そこで見つかった重要な遺伝子をもつ植物を選び出すことで、品種改良の効率化に貢献することができるのです。
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前橋工科大学 工学部 情報・生命工学群 教授 蒔田 由布子 先生
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