「生活に密接する行政法」だから、有益であるように仕組みを整える
生活に密接に関わっている行政法とは
私たちの生活や仕事には、行政の活動が密接に関わっています。こうした行政の活動を定めた法律には色々なものがありますが、それらをまとめて「行政法」ということができます。例えば、運転免許に関する決まりごとは道路交通法で定められていますが、これも行政法に分類される法律です。現在、日本で適用されている法律の多くが行政法に分類できるほどです。普段あまり聞き慣れない行政法という言葉ですが、実は私たちの生活にとても密接に関わっています。
行政訴訟を続けている間の暫定的な救済の仕組み
行政の活動に不服がある場合は、裁判で争うことができます。こうした行政の活動を争う裁判を、行政訴訟といいます。例えば、生活が苦しくなったので生活保護の申請を行ったにもかかわらず、生活保護を受けられなかった場合、行政訴訟で争うことができます。しかし、行政訴訟の判決が出るまでには長い時間がかかります。そのため、最終的に行政訴訟で勝ったとしても、それまでに受けた不利益を十分に回復できないことがあります。あるいは、訴訟を続けることをあきらめてしまうかもしれません。
そこで、行政訴訟を実効的なものにするためには、訴訟を続けている間、訴訟を起こした人を暫定的に救済する仕組みが不可欠です。生活保護の例に即していえば、行政訴訟を起こした人に対して、生活保護を暫定的に支給するよう行政に義務づけることが求められます。
国民に有益な暫定的な救済の仕組みを求めて
実は、行政訴訟を続けている間、生活保護の支給を行政に暫定的に義務づけることを可能にする仕組みが日本で作られたのは、いまから約20年前のことにすぎません。しかも、行政訴訟を起こした人に対して、暫定的な救済が認められるための条件は、かなり厳しいものになっています。この暫定的な救済の仕組みを私たち国民にとってより有益なものにするためには、どのような点をいかに改めるべきかを、外国の制度との比較もしながら、なお考えていく必要があります。
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