ペットちゃんの法的地位を考えてみよう!
ペットは民法では物と同じ扱い
最近、ペットを飼う人が増えています。では、法律では、ペットのような動物をどのように扱っているでしょうか。法律のうち、民法では、物と同じ扱いをします。物ですから所有することができます。取引の対象にもなるので、他人との間で売買できます。所有者のいない野良猫なら、所有の意思を示せば所有できます。そして、もし、他人に盗まれたり、傷つけられたりすれば、返還や損害賠償を請求できます。他方で、所有者には管理責任がありますので、騒音や悪臭、人身被害などのトラブルが起きないように注意しなければなりません。
動物への虐待を禁止する「動物愛護法」
では、自分の所有物だからといって、所有者はペットを虐待してもよいのでしょうか。民法には、これを罰する規定はありません。しかし、それでは心情的に許されないので、動物愛護法という法律では、動物虐待を禁止し、動物愛護の精神を持って、適切に扱うように定めています。もし、この法律に従っていないことが証明されれば、飼い主は罰せられます。ただ、動物だからといって、家畜や魚なども殺してはいけないとなると、人間は生きていけません。そのため、ペットと食用の動物は区別して、動物を「みだりに」殺したり傷つけたりしてはいけないと規定しています。
法律は人間のためにあるので矛盾することも
しかし、動物愛護法も万能ではありません。ペットの所有者の中には、世話ができなくなって行政にペットを引き取ってもらう人がいます。そして、引き取られたペットの多くは殺処分されています。それではいけないということで、ボランティアの動物愛護団体が引き取って里親探しをする場合もありますが、それも、受け入れ能力は限界に達しています。
法律は人間同士のトラブルを未然に防ぐために作られるものであり、動物愛護法も例外ではありません。動物愛護の精神に反するからといって、殺処分を全面禁止にすると社会が混乱してしまいます。法律とは、いかに運用するかが重要なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
福岡大学 法学部 教授 下田 大介 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
法学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?