講義No.13420 法学

税は国民の財産権を侵害する? -国民の権利と義務から考える租税法

税は国民の財産権を侵害する? -国民の権利と義務から考える租税法

税をめぐる国民と国家の関係

私たちが経済的取引を行えば、必ず税の問題が生じます。現代社会で勉強したように、国民の三大義務には「納税」が含まれています。なぜ税を支払うのでしょうか? また、どのように税は課されるべきでしょうか?
私たちが全く無知のまま、税制が運用されるならば、当事者である国と国民の間の関係は、知識や情報力等を有する者が勝る世界へと変貌します。このような社会では、税制は力関係で規律されてしまいます。
歴史が示すように、力関係による規律は、民主主義の基盤を損ないます。私たちは、民主主義社会を実現するために、他の法制と同様に、税制が法の支配の下にあることを理解する必要があります。

納税者の権利

税は、国の運営や私たちの日常生活を支える欠かせない存在です。税は、国が公共サービスを提供するための資金調達をする目的で徴収されますが、同時に、憲法で保障される私たちの財産を傷つける効果もあります。私たちの財産権を侵害する税は、どのような方法で負担配分が決定されるならば、私たち国民は納得して税を納めることができるでしょうか?
誰もが公正に、かつ、平等に取扱われることが条件の一つであることに異論はないでしょう。私たちには、税制についても他者と同様に平等に取扱ってもらう権利が憲法で保障されています。

税制に対する法の支配-租税正義の実現

社会の誰もが平等に納税しているか否かを確認するには、租税法を知る必要があります。私たちが法律どおりに正しく税が課されているかを確認しなければ、私たちの持つ税負担の平等権が、正しく保障されているのか否かも確認できません。
もし、法律どおりに税制が正しく運用されておらず、不公平な内容である場合には、私たちの持つ参政権を行使して、税制を正し内容へ変える必要があります。私たちが、私たちの幸福のために、税制における法の支配、納税の義務と私たちの権利を正しく学び、理解していく必要があるのです。正しい税制は何かを考えることは、重要な租税法学の研究テーマです。

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先生情報 / 大学情報

大阪経済大学 経営学部 ビジネス法学科 講師 山本 直毅 先生

大阪経済大学 経営学部 ビジネス法学科 講師 山本 直毅 先生

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租税法学、公法学

メッセージ

私たちの日常生活は、多くの先人の叡知や技術によって成り立っています。大学では、多くの専門家から生活を支える基本的な考え方を学び、社会が直面する課題を問う経験ができます。
大学生活では様々な貴重な経験をしますが、一人で経験すること、仲間と経験すること、さらには新しい出会いによって未来に繋がる経験もあります。私も、人に恵まれ、今の大学教員という職業も出会いを通じて得られたものです。あなたも大学で多様かつ主体的な経験を重ねて、「自分はできる」と信じて将来を切り開いていってください。

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