才能をもつ子どもを伸ばす、学校教育の新しいあり方
教師教育と才能教育
勉強やスポーツ、芸術など、特定の分野において「特異な才能をもった児童生徒」への指導・支援は、将来の国益につながるほど重要です。「理科」においても特異な才能を示す児童生徒は一定数存在しており、そうした人たちの能力をより伸ばすためには「理科の授業」にとどまらず、「科学研究」を経験させることが有効です。しかし、定められたカリキュラムや学習指導要領がある中で、個別の才能に合わせた教育を行うことは簡単ではありません。教師教育や才能教育といった学問分野では、こうした児童生徒の力を伸ばすために「研究」の要素を取り込んだ教材やプログラムの開発が行われています。
研究のアプローチ
理科の授業で用いる一般的な教材やプログラムが学校の学習内容に沿って作られているのに対して、「研究」を取り入れた教材やプログラムは、その枠を超えたものである必要があります。例えば、プログラムにさまざまな物質を用いて色素を合成する実験を取り入れるとします。そこでは、これまで明らかにされているやり方、つまり既に用意されている正解を導き出すだけでなく、新規の物質や合成の方法を使って新たな発見につなげるという余地をもたせることが大切です。さらにこれらを高校、中学校、小学校とそれぞれの学校種のレベルや教育環境に合わせて簡易化させることで、教育現場での利活用がより容易になります。
教育現場をサポート
研究の要素を加えた教材やプログラムの開発は、特異な才能をもつ児童生徒のためだけでなく、教育全体のレベルを上げて、一般の児童生徒への教育効果を高めることにもつながります。教育大学の重要な役割は、こうした知識や理論を確立し、学生に伝えてより良い教員を養成することにありますが、教育の最終目標はそこではありません。児童生徒たちがもつ才能を最大限に伸ばして、その子どもたちがいつか社会に出て科学の分野で活躍することが本来の目標であり、さらにそうした人材が活躍することで、国全体が豊かになることにもつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
鳴門教育大学 学校教育学部 学校教育教員養成課程 理科教育コース 教授 早藤 幸隆 先生
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