そのひとらしい暮らしを創造する作業療法士

そのひとらしい暮らしを創造する作業療法士

「作業」とは生活・人生において意味のある行為

作業療法士は、病気やけがで障害を抱えた人に対してリハビリテーションを行うプロフェッショナルです。リハビリテーションにおいて、理学療法士が主に基本的動作能力、例えば起き上がる・立ち上がる・歩くといった動作の獲得のために身体機能訓練を中心に行います。作業療法士は応用的動作能力、社会的適応能力、例えば日常生活の着替えや食事、入浴などの身の回り動作、仕事、勉強、趣味など、その人にとって生活・人生に意味のあるすべての行為を「作業」としており、それらの「作業」の獲得を目指し、必要な動作能力の獲得を支援します。

「障害」を「個性」として捉えた生活支援

例えば病気の後遺症で、利き手である右手の「障害」に対して、「右手がここまでしか動かない」と捉えるのではなく、「右手はここまで動く」として捉えることで、生活支援の可能性は大きく拡がります。右手が動きにくくなった人が「料理がしたい」なら、目標は「利き手である右手が動く」ことではなく「料理をする」ことです。作業療法士は、「障害」を「個性」として捉え、残された右手の機能や健康な左手の機能を生かし、調理補助具などをうまく使って料理をする方法を提案し支援します。

地域での暮らしを支える在宅支援

病院の訓練でできるようになったことが自宅ではできなくなるケースも多くあり、自宅を訪ねて、そのひとのライフサイクルに合わせ、生き生きとした暮らしへの支援を行うのも、作業療法士の重要な役割です。その人の残っている能力を活用した日常動作機能訓練の他、住宅改修、福祉用具活用へのアドバイスもとても重要です。手すりの設置、段差の解除、リフトの設置など専門家ならではのアドバイスが対象者と家族の生活を大きく変えていきます。自宅だけでなく、買い物などの外出訓練を行うこともあります。作業療法士は病気やけがで障害を抱えた人の新たな生活・人生を創造していくスペシャリストなのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

福岡国際医療福祉大学 医療学部 作業療法学科 教授 丹羽 敦 先生

福岡国際医療福祉大学 医療学部 作業療法学科 教授 丹羽 敦 先生

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作業療法学

メッセージ

作業療法士は、病気やけがにより、動く、見る、聞く、話す、理解するといったことが不自由となった方々に、もう一度、食事、着替え、排泄等の身の回り動作や家事、勉強、仕事、趣味(このような人のすべての行為を「作業」と呼んでいます)が可能となるよう、その人らしい暮らしを支援する医療専門職です。そのために、運動学、解剖学といった医学的知識をもとに、心身機能への回復訓練、また障害を残したとしても、残存機能を活用して、より良い暮らしを目指します。ひとの幸せな、満足いく人生を支援する魅力的なスペシャリストです。

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本学は、2019年に開学した福岡市で初の高度なリハビリテーションを総合的に学べる4年制大学です。九州でも有数の充実した都市機能と美しい景観を併せ持った福岡市のシーサイドももちに立地します。また、本学は全国約50の教育・医療・福祉施設を運営する「国際医療福祉大学・高邦会グループ」の一員。 本学独自のカリキュラム「関連職種連携教育」をはじめ、現代の医療福祉現場で不可欠な「チーム医療・チームケア」を実践的に学べる教育が特長です。グループの総合力で学生の教育・実習・研究を全面的にバックアップします。