発達障がいの子育てを応援する父親トレーニングの開発

発達障がいの子育てを応援する父親トレーニングの開発

発達障がい児の育児トレーニングとは

育児は楽しいだけとはいかず、大変な場面も多くあります。とりわけ発達障がいの特性を持つ子どもの育児には、専門機関などの支援が重要だと言われています。現在は発達障がい児の両親のために、ペアレントトレーニングという育児支援プログラムが推進されています。これは本来、両親での参加が想定されていますが、ほぼ母親だけの参加なのが実情です。その結果、母親に育児負担が偏っていることが問題になっています。子どもの成長を支えるために、家庭内の役割分担や体制の構築が不可欠でその取り組みが必要とされています。

父親のニーズを明らかにする必要性

なぜ父親の参加が少ないのか、父親たちは何を必要としているのか。実はその多くが分からない状況です。そこで、発達障がい児の父親などに行った調査の結果、父親の育児参加が難しい要因として、勤務時間の調整の難しさなどが明らかになりました。さらに父親の傾向として、保護者の集まりに入ることへの抵抗感や、自分だけで問題解決を図るもうまくいかない状況が見受けられました。一方で、父親が最も必要としているのは、発達障がいを抱えながら子どもが将来どのように成長していくかの情報であることもわかりました。現在は、発達障がい児の父親向け勉強会が企画され、自治体の支援者の協力を得て試験的に開催されています。

新たな父親向けの育児トレーニング

新たなトレーニングの特徴は、通常の対面講座だけでなく、父親たちのライフスタイルに合わせてオンデマンド講座やeポートフォリオの課題などを組み合わせて提供する点です。まずは発達障がいに関する理解を深め、その上で子どもとの関わりについて考えて、さらに家族全体でのサポートのあり方に向き合います。将来的には、両親がそろってペアレントトレーニングが受けられるように、母親と同じ土台に乗せることを目標としています。発達障がい児の父親向けトレーニングプログラムが確立できれば、すべての父親のためのプログラムの仕組みとして汎用が期待されています。

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先生情報 / 大学情報

信州大学 医学部 保健学科 看護学専攻 講師 石田 史織 先生

信州大学 医学部 保健学科 看護学専攻 講師 石田 史織 先生

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公衆衛生看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

看護職というと病院で治療をサポートする看護師のイメージが強いと思いますが、地域住民の健康管理や健康増進に携わる保健師という職種も含まれています。乳幼児から高齢者まで、その人の願う幸せな暮らしを実現するための仕組みをつくる仕事です。主に行政機関で働き、統計学・社会学・教育学・行動科学など幅広い分野の理論を用いて、人の心理や行動に働きかけ自発的に健康へ導く道筋を立てます。また、保健師は予防に関わるため、これからの健康長寿社会のために欠かせない職業です。ぜひ保健師に関心を持って、学びに来てください。

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信州大学は、人文・教育・経法・理学・医学・工学・農学・繊維の8学部からなり、すべての学部に大学院が設置されています。教員は約1千人、在学生数は約1万1千人で、世界各国からの留学生約400人も意欲的に学んでいます。
松本、長野、上田、伊那に位置するいずれのキャンパスも、美しい山々に囲まれ、恵まれた自然のもと、勉学にも、人間形成の場としても、またスポーツを楽しむにも最適の環境にあります。さらに、地域との連携がきわめて良好であり、地域に根ざした大学としての特色も発揮しています。