子どもたちを変える「歌」と「言葉がけ」の魔法
歌や音楽の役割とは
保育園や幼稚園、小学校で合唱する時、「背筋を伸ばして」「大きな声で」と、指導された経験は誰にでもあるでしょう。ですが、歌は心です。もっと自由に楽しむものです。歌や音楽は、子どもの想像力を刺激し、世界を広げ、たくさんの気づきを与えるなど、子どもの豊かな感じ方や考え方を育む役割を担っているのです。
子どもを輝かせる、魔法の「言葉がけ」
歌や音楽の指導で大事なのが、子どもたちの気持ちを受け止め、思いを引き出す、指導者の言葉がけです。例えば、歌詞に「花」や「虹」が出てきたら「どんな花が咲いているのかな?」「虹が出ると、どんな気持ちになる?」と尋ねたり、「今日はどんな気持ちで歌いたい?」と問いかけることで、子どもはイメージを膨らませ、豊かな感性が育まれます。
幼稚園の発表会などでよく歌われたり合奏したりされる、『パレード』という曲があります。「○○ちゃんが見た行進はどんなふうだった?」「発表会では、どんなパレードにしようか?」と問いかけて、みんなで歌い方を考えたり、「〇〇ちゃんは、そう思うんだね。どうしてそう思うの?」「みんなはどう思うかな?」と子どもの発言を丁寧に受け止めて、子どもたち一人ひとりの思いがクラス全体に行き渡るようにします。そうすることで体験がバラバラな子どもたちが、パレードのイメージを共有し、より感情をこめて楽しく歌えるようになるのです。
歌が心の成長を促す
また、『どんぐりころころ』の「お池にはまったドングリはどんな気持ちなんだろう?」と、歌を通じて相手の気持ちを自分の気持ちのように感じる「人間関係の基盤(間主観性)」も築くことができます。生物や自然への豊かな感性を育むことは子どもの心の成長につながります。
保育者や教育者の意識の持ち方によって、子どもへの言葉がけは全く違ってきます。保育・幼児教育の現場では、子どもの気持ちがどこに向いているかを見つめ、ゆとりを持って接する姿勢が求められるのです。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 小杉 裕子 先生
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