作業療法士は“引き出しをいっぱい持っている”
ぴったりの作業(Activity)を見つける
作業療法士は、生活に障がいをもつすべての人に関わり、医療をはじめ、保険、福祉、教育、職業領域で幅広い分野で活躍しています。作業療法を簡単に説明すると、身体または精神に障がいのある者、またはそれを予測される者に対し、その主体的な活動を獲得するため、諸機能の回復、維持および開発を促す作業活動を用いて治療・指導・援助を行うことです。
ここで作業活動というと、手工芸、レクリエーションのようなものをイメージする人が多いかと思いますが、作業療法とは、日常生活の諸動作(例えば、食事、更衣など)や仕事、遊びなど人間に関わるすべての諸活動のことを指します。
提供する作業活動は対象者の疾患と能力によって異なります。もちろん、障がい者本人の希望も尊重します。十人いれば十通りの作業活動があります。作業療法士は、その対象者にあった作業活動を選択するために、対象者の状況を正しく把握し、適切な作業活動を提供しなければなりません。そのためにも、作業療法士は多くの引き出し(知識、技術)を持っていることが求められます。
知識と技術、アイデアをフル活用
作業療法士は、数多い作業活動を用います。時には手芸を選択したり、時には陶芸をしたりします。しかし、作業療法士は陶芸家でも編み物の先生でもありません。作業の手順と、その作業がもたらす治療的効果をしっかり把握した上で、「この人にはこういう作業活動がいい、あの人にはこういう作業活動がいい」というように提供する作業活動を決めなければなりません。
障がい者それぞれに合った作業活動を提供するには、自分の知識や技術、経験などをうまく活用し、それらを統合することが必要です。ですから、作業療法士をめざす学生は、解剖学・生理学や運動学などの医学的科目も学びますし、対象者の検査、評価の仕方、治療方法など、さまざまなことを学びます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報
山形県立保健医療大学 保健医療学部 作業療法学科 教授 佐藤 寿晃 先生
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先生への質問
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