作業療法士が学校と連携! 「クラスの中で気になる子」を支援する
病院から地域へと広がる、子どもの支援
発達領域の作業療法は、CP(脳性麻痺)やADHD(注意欠如・多動性障害)などの診断を受けた子どもを対象として、小児医療センターなどの病院で行われてきました。最近は少しずつ地域に広がり、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスで勤務する作業療法士も増えており、さらに地域の学校と作業療法士が連携することも増えています。小学校では通常クラスの児童の約10%に、教師が学習や行動に何らかの困難があると感じる「気になる子」がいるという調査報告があります。子どもたちの普段の生活の中心である学校に、作業療法士が関わっていくことの可能性も模索されています。
環境と活動を整える
作業療法の捉え方の1つに「P-E-Oモデル」があります。これは活動をうまく行えない場合に、その背景を捉える視点として、「人・環境・作業」から考えるといったモデルです。例えば、授業中じっと座っているのが難しいなど発達障害の特性によって学習に困難が見られることがあります。その時は「注意力を散漫にさせるものがないか教室の環境を見直す」「小さなステップで達成できる課題を提示する」などの方法で支援を試みることができます。
子どもは経験を通して、能力を獲得していきます。子どもを変えようとするのではなく、良い経験を積み重ねられるように環境と活動を整えることが、成長発達へと繋がっていくのです。
一人一人に合わせた関わり方
リハビリテーションは、病気などによる障がいで失った生活を再獲得するために行います。それに対して発達領域の作業療法では、子どもの成長に伴う生活課題の変化に対して、新しいスキルや能力の獲得を目的にしたハビリテーション(療育)を行います。
発達障害はしつけや育て方の問題と誤解されることもありますが、脳の働き方の特徴であることがわかっています。保護者や学校の先生から話を聞いて、子ども一人一人の理解する力や認知機能に合わせた関わり方を共に考えていくことも、作業療法士の重要な役割です。
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