高齢化で介護予防体操がブーム
医療費軽減の手段に
近年、日本では高齢化にともない、医療費が上昇すると予測されていることから、「介護予防」に注目が集まっています。介護予防をしっかり行えば、高齢者の要介護化を抑制することができるかもしれません。結果、医療費は軽減できるという考えです。
介護予防にはいろいろな事業がありますが、私が携わっているのは、介護予防体操の開発、普及です。特に最近は、「医療費軽減には効果的」という考えが高まり、各自治体が介護予防体操の開発・普及に積極的です。介護予防体操は「流行(はやり)」と言ってもいいでしょう。
介護予防体操といっても、その目的はさまざまです。筋力維持のために行うものもあれば、コミュニケーションのきっかけづくりとして行うものもあります。前者の場合、高齢者の身体能力をこれ以上低下させないことが第一目的です。後者の場合、家に引きこもる人を少しでも減らしたいという意図があります。
県をあげて体操を開発
こうした介護予防体操の多くは、市や町など小さな単位で実施されています。ですが、中には県全体という大きな単位で実施されているところもあります。その1つが山形県です。山形県と山形県立保健医療大学が協力し、「花の山形! しゃんしゃん体操」という介護予防体操を考案しました。作業療法士、理学療法士、看護師たちが共同で開発し、県内に500人の指導普及員を養成しました。この体操は筋力維持というよりは、引きこもり防止、コミュニケーション手段として機能することが狙いです。ですから、イベントや活動を始める前の準備体操として、気軽に取り組んでもらえるように工夫されています。
今後、介護予防体操の需要は全国的に高まってくるでしょう。また、体操の普及のみならず、その効果を問われる時代になってくるでしょう。その際、作業療法士をはじめとする理学療法士、看護師など医療福祉従事者が重要な役割を占めることになると思います。
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先生情報 / 大学情報
山形県立保健医療大学 保健医療学部 作業療法学科 教授 佐藤 寿晃 先生
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