その作業は「願望」か「義務」か?
1日に行う作業
朝起きてから夜寝るまでに、高校生であれば勉強や部活動などのさまざまな「作業」をしています。健康であるための適切な作業バランスを考えるとき、単にそれぞれに割いた時間の配分を見るのではなく、作業に対する意味を考える必要があります。例えば、毎日する料理を「しなければいけない作業」と感じる人もいれば、「やりたくてしている作業」と感じる人もいます。
作業を仕分けする
作業に対する意味を知るために、作業を「義務」「願望」「義務であり願望でもある」「義務でも願望でもない」に仕分ける方法があります。しなければいけない作業は「義務」、やりたくてしている作業は「願望」です。進学のための勉強は「義務であり願望でもある」かもしれません。健康に暮らしている人の1日に行っているいろいろな作業についての認識を聞き、回答を平均すると、「義務であり願望でもある」が約60%、「義務」と「願望」がそれぞれ約20%で、「義務でも願望でもない」はほとんどないとされています。
一方、高齢者施設に入所している方の例では、「義務であり願望でもある」が59%、「義務」が18%、「願望」が0%、「義務でも願望でもない」が24%になりました。同時に、健康なときを100点とした生活の満足度を聞いたところ、10点という回答になりました。
心の健康と作業
「義務でも願望でもない」作業が増えると、生活の満足度が低くなる傾向にあります。「義務でも願望でもない」作業とは何か挙げてもらうと、「テレビを観る」「ご飯を食べる」など、健康なときであれば「願望」になりそうなものもありました。その後、作業療法などのリハビリテーションによって自分で少しずつ動けるようになると、1日のスケジュールは同じにもかかわらず、「義務でも願望でもない」が減少して「願望」が増加し、生活満足度も増加するようになりました。心の健康を保つには、作業の内容や時間だけでなく、そのひとにとって意味のある作業を生活の中に多く取り入れ、意識を向上させることが大切なのです。
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東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 教授 髙木 大輔 先生
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