作業療法士のアイデアで生まれる福祉用具(自助具)
障がいを障がいではなくする道具
福祉用具は「利き手が使えない」「一人で立ち上がれない」など、何らかの障がいのある人々をサポートしてくれる道具です。手すりや階段昇降機など、いろいろなものがあります。
作業療法士の仕事の一つに、対象者の状態と福祉用具の効果の十分に把握した上で、福祉用具を選択します。その際、福祉用具を使った時のリスクの予測・管理も重要な課題です。
利用者の思いを察して考案
福祉用具の中に、自助具(じじょぐ)というものがあります。自助具とは、障がい者が他人の助けを借りなくても動作ができるように考案された道具です。作業療法士のアイデアで生まれたものも数多くあり、その一つが、箸を持ちやすいようにサポートしてくれる自助具です。
箸は日本人が食事をする際に欠かせない道具ですが、利き手に障がいがあり、指先の細かな動きができなくなってしまった場合、これまでのように、箸を自由に使いこなすのは困難です。若い世代であれば、「スプーンやフォークを使って食事をすればいい」と考える人も多いようですが、高齢者の中には「食事をするときは必ず箸を使いたい」と希望する人もいます。使いやすくて代用できる器具があっても、「それは使いたくない」という人もいます。ですから、スプーンやフォークがあっても、箸を持ちやすいようにしてくれる自助具が存在するのです。
このように、自助具を作る際は、障がいのある方々の思いに気づき、その障がいをサポートしてくれるであろう道具がどんなものか考え、見つけ出すことが大切です。
創意工夫で使いやすさを追求
市販の自助具のほとんどは、そのままでは使いにくい部分もあります。手直しをして使うのが一般的で、この手直しも作業療法士の役目です。
福祉用具、自助具の開発・手直しには、作業療法士の工夫とアイデアが生かされています。
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先生情報 / 大学情報
山形県立保健医療大学 保健医療学部 作業療法学科 教授 佐藤 寿晃 先生
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