裁判から生まれたリハビリテーション
ジャンヌ・ダルクの死がきっかけ
「リハビリテーション(Rehabilitation)」という言葉は、中世のヨーロッパで生まれたものです。そのきっかけとなった人物が、フランスの英雄として知られるジャンヌ・ダルクです。
彼女は「魔女である」と、1431年に火あぶりの刑に処せられました。しかしジャンヌ・ダルクの死後、彼女の罪の有無をめぐって、再び裁判が行われます。結果、1456年、ローマ教皇が「ジャンヌ・ダルクは無罪である」と判決を下しました。このときの裁判は「リハビリテーション裁判」と呼ばれ、初めてリハビリテーションという言葉が使われました。
リ(re)は「再び」、ハビリス(habilis)はラテン語の形容詞で「適した、ふさわしい」、ーション(-ation)は「~すること」という意味があります。ジャンヌ・ダルクの無実が証明されたことは、「再び適したものにする」「再びふさわしいものにする」ということで、そう命名されたのです。
もともとは傷病兵を社会復帰させる場
リハビリテーションという言葉が医学の世界に用いられるようになったのは1917年です。第一次世界大戦中、アメリカの陸軍病院に「身体再訓練(現在の機能訓練)およびリハビリテーション部門」が設けられました。身体に障がいはあるけれど、命のある傷病兵(しょうびょうへい)を社会復帰させ、最終的には職業復帰させようという目的で始まりました。
そして現在、リハビリテーションという言葉は「身体的・精神的な部分の能力を回復させる活動」という意味で用いられています。「病院でリハビリをする」など、短縮して呼ぶことが多いですね。
リハビリテーションの中には作業療法というものがあります。作業療法は「作業(活動)を通して、障がい者にリハビリをさせること」。これを仕事の一つにしている職業が作業療法士です。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。