選手ファースト! 理学療法の力でスポーツ障害から選手を守る

選手ファースト! 理学療法の力でスポーツ障害から選手を守る

成長期のスポーツは「使いすぎ」に要注意

スポーツ障害(傷害)とは、スポーツで同じ動作を繰り返すことによって、骨や関節、靱帯(じんたい)、筋肉などの特定の部位が使いすぎの状態になり、痛みなどの症状が出るものです。例えば、野球ではボールの投げすぎによる野球肘や野球肩、サッカーやバスケットボールではひざの使いすぎによるオスグッド・シュラッター病がよく起こります。成長期の関節は軟骨成分が多く障害が起きやすいため、特に注意が必要です。
改善するには、全身のチェックが欠かせません。例えば下半身の硬さが影響して投球フォームがくずれ、野球肘が起きているような場合、理学療法でひじだけでなく下半身のリハビリを行うことが再発予防のためにも大切です。

メディカルチェックでパフォーマンス向上

最近では、医師や理学療法士が運動器(骨、関節、筋肉、靱帯、神経など体を動かす組織・器官)を検査し、一人ひとりの選手の体の状態に合わせてトレーニング方法などを指導する「メディカルチェック」の研究・活動も広がっています。メディカルチェックは障害を予防・早期発見するだけでなく、指導者や保護者、選手本人に体のケアについての正しい知識を伝え、けがなく競技を続けられる「選手ファーストの環境」をつくることが大きな目的です。適切な指導やアドバイスは選手のパフォーマンス向上にもつながります。

運動器のチェックに力を発揮するエコー

理学療法士が運動器をチェックするとき、大きな武器となるのが超音波(エコー)検査です。エコー検査は特別な資格がなくても行うことが可能で、小さく持ち運びができる機器は運動器検診やメディカルチェックでもよく使われています。レントゲンやCT、MRIは静止画像ですが、エコーは動いたときの状態、例えばひじを曲げ伸ばししたときの靱帯の伸び縮みなどをリアルタイムでとらえることができるので、運動器のチェックにぴったりです。エコー検査の機器は進化しており、筋肉のコンディション(硬さ)が詳しくわかるタイプも開発されています。

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群馬大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 教授 田鹿 毅 先生

群馬大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 教授 田鹿 毅 先生

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総合理学療法学

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メッセージ

運動器のスペシャリストである理学療法士は、スポーツ障害の予防や治療に欠かせない存在です。けがなく楽しくスポーツを続けられる選手ファーストの環境は、医療関係者が指導者、保護者、選手自身と協力し合って成り立つものです。私自身も少年野球運動器検診・高校野球選手のメディカルチェックを通して、スポーツ障害予防啓発活動・障害研究活動を続けていますが、未来ある子どもたちのサポートができるのは大きな喜びです。「選手のために何かがしたい」という思いを持つ人に、ぜひ理学療法士として活躍してほしいです。

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群馬大学は北関東を代表する総合大学として、優れた人材を育成し、学問の研究と応用、福祉への貢献など、社会的使命を果たすことを特色としています。「社会のニーズに配慮しつつ細分化から総合化へ」という理念を研究面、及び教育面に具体的に実現させ、「研究活動面における社会との連携及び協力」に高く評価される形となって生かされています。